夢の館
□初めて
1ページ/2ページ
1.手を繋ぐ 火神
「お前が好きだ。俺と付き合ってくれ…です」
『はっ、はいっ』
そう言われての翌日
正確には11時間後ほど
私と火神くんは人1人分ぐらいの距離を開けて、歩いている
火神くんが一緒に登校しようと言ってくれたので喜んで承諾したけど、昨日の今日だから少し気恥ずかしい
元々引っ込み思案な私。そんな私にも春が来るなんて
「なぁ」
『はひっ!?』
突然声をかけられて、噛んでしまった
恥ずかしさで死にそうになりながら横をチラリとみれば、火神くんは頬を染めながら手を差しだす
「手ぇつながね?恋人、だろ?俺ら」
『こ、恋人…』
声に出して余計に恥ずかしくなって来てしまった
でもそれと同じくらい火神くんも赤くて…
妙な沈黙が流れ始めた時、しびれを切らしたのか火神くんはおもむろに私の手を掴む
『!!』
「…手汗とか気になるなら、やめっけど」
『いいいやっ全然大丈夫っ!!むしろ火神くんが気にならない!?』
「いや、俺は別に…」
また沈黙
けれど気まずい沈黙ではなくて。幸せだと思う
手を繋ぐだけでこんなになるって…私、これから心臓持つかな…?
恋人つなぎになるのはきっと遠くない未来
Fin