屍の女王の恋煩い

□龍と屍女王の出会いは
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私は気が付いたら、この世に生を受けていた
赤子の時から人格が定まっているなんて、気持ち悪いなと自分でも思った
でも、皆優しくて、人との関わりを持たないけれど人は好きで
せめて自分に出来る事をと考えた結果が、聖騎士

私はこの世界を知っている
"七つの大罪"
決して入る事の出来ない…超える事の出来ない壁を越えてしまった私

気が付けば、もう王国転覆を図った大罪人が仕立てあがるのはすぐそこだった

(さて…)

少しばかり、眠ってしまおうか


そうすればきっと
彼に会えるはずだから








「……ぃ」

誰かが呼ぶ
本当に寝すぎてしまったようだ

「お……ぃ」

段々と声が聞き取れるようになってきた
意識が浮上するのがわかる

「うーん…死んではなさそうだけどなぁ」

「いっそ叩き起こしたらいいんじゃね?」

「お前、こんな美人を叩き起こせるか?」

あぁ…この声は間違いない
偶然でも、まさか目を開けた先に彼らがいるなんて

『んぅ…』

「お、目が覚めたか」

閉じた瞳をゆっくりと開けば、何度も読み返し、見返した、あの姿
癖のある金髪に特徴的なアホ毛、子供のような容姿に背中に見えるのは龍の剣
隣には可愛らしい、ピンクの豚

『……誰…?』

間違えていないだろうけど、一応確認を取る
そうすると彼はニカリと笑って

「俺はメリオダスだ。こいつはホーク。よろしくな」

『…パトラ』

「?」

『私の名前』

むくりと起き上がり、笑顔を向けて名を言う

「パトラか。お前はここで何してんだ?」

『人を待ってたの。ずっと…ずーっと』

「人探しかー…俺も人探ししてんだ。良かったら『あなただよ』ほ?」

『あなたを探してたんだ…メリオダス』

そう、私はこのためにずっと生きていた
この物語を見届けるために
私の言葉にぽかんとしたメリオダスは、何を思ったのか私をいきなり抱えた

『!!』

「じゃあいくか!!」

「おいおい、まさかそいつ連れてくのか!?」

「おう!パトラには店の歌姫でもやってもらおうかね」

『ふふ…おもしろそうだね』

うん。悪くない
私の返答に気をよくしたのか、メリオダスはさささーっと豚の帽子亭へと入って行く
お酒の匂いと、少し残る料理の匂い
…実際の中はこんな風になっていたんだと、ちょっと感動する

「パトラ」

『ん?』

「俺と一緒に、仲間集め手伝ってくれるか?」

『勿論』

こうしてすんなりと、メリオダス達の旅の同行ができた
正直こんなに簡単にいくとは思わなかった
あぁ…嬉しい

エリザベスと出会うのはまだ後8年ぐらいはあるけれど…
それまでは、この酒場の歌姫を全うしてやろうではないか


さぁ
物語の幕開けだ

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