ごちゃ混ぜ

□桃色、薄山吹色、薄桃色の髪
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霧野視点


「ついに来たか…」

俺は手に持っていた荷物を一度地面に置き、見渡す限りの自然を眺めた
ここはフランス
…全ては彼女に会うため

「来たよ…ジャンヌ」

あのセカンドステージチルドレンとの戦いから約5年後
俺は今、19歳の大学生
今日、ここフランスに来たのは留学も理由の一つであるが本当の目的は別にあった
それは俺達が2の力…ジャンヌの力を求めて中世ヨーロッパにタイムジャンプした時
彼女とした、俺と彼女だけが知っている約束
それを叶えるためだった――――――…




5年前
中世ヨーロッパ

俺は、叶わないと知っていながら、彼女…ジャンヌに思いを伝えようと部屋の前に来ていた
だが此処まで来て、足が竦む
拒絶されたらきっと立ち直れない気がして、ドアをノックするのを躊躇してしまう

「…俺って、こんなに女々しかったっけか…」

ははっ、と乾いた声で笑う
実際他人から見れば笑えていないのだろうけど
彼女への思いに気付いたのはフェイの何気ない一言から

『霧野君ってココに来てからずっとジャンヌさんのこと見てるよね…好きなの?』

なんていう言葉からだ
黙った俺を見て、え、図星!?とかいうフェイの言葉はもう頭に入らなかった
そこからは不幸の連続
俺とジャンヌでは時代が違うし、国も違う。さらには彼女は最終的に火炙りにされてしまう
俺の初恋は儚く消えて行ってしまった
それでもやはり諦めがつくものではなくて、言うだけ言ってフラれて諦めようと今ジャンヌの部屋の前に居るわけだが…

(どうしてここまで来て躊躇するんだよ俺!!男ならバシッとフラれてなんぼだろ!!)

いや、実際フラれたらフラれたでずるずる引きずるんだろうけど
…フラれたら泣くかも。神童並みに
なんて脳内で自問自答やらノリツッコミやら繰り返しているとガチャッというドアを開ける音が………

「え…?」

ドアを開ける音…?

「ランマル?どうしたの?」

…あ、ジャンヌだ。今日も可愛いな…
ん?ジャンヌ?

「ジャンヌ!!!?」
「え、あ、はいジャンヌです」

(なんというバットタイミング…!!いやまて蘭丸。彼女に好きと言っても友達としてと捉えてくれるんじゃないのか!?ていうかその方がいっそ楽だ!!)

意を決して俺は彼女を見る
目の前のジャンヌは俺の苦労など知らずにニコニコと笑っている

「ジャ、ジャンヌ…その…話があるんだけど…良いか?」
「はい、大丈夫です。お部屋で大丈夫ですか?」
「あ、あぁ」

ジャンヌは笑って俺を部屋に通す
年頃の娘が安々と男を部屋に入れるなんて警戒心なさすぎだろ…とは思いはしたものの、それほど俺を信頼してくれているんだと嬉しくもある

「それで、話って…?」
「あ…いや…その…」

心臓が聞こえてしまいそうなぐらいバクバクとうるさい
こんなに改まって好きと言ってしまったら彼女でも分かってしまいそうだ
それでも言わないよりはきっとマシなんだと思う
言わなかったら彼女を連れ去って何処かに隠しておきたくなってしまうはずだから
俺は一度深呼吸をして喋り出す

「…俺は未来から来た…それは変えられない事実だ」
「はい…分かってます」
「でも…俺は…っ…」

目の前の彼女が愛おしすぎて、思わずギュッと抱きしめて仕舞った
あぁ、これじゃ恋愛感情と思われるだろうなと、頭の片隅で考えながらも口は勝手に動く

「俺はっ……ジャンヌ、君が好きなんだ…もちろん、住む時代が違うから…無理だってわかってる…でも…好きなんだ。ジャンヌの事が」

言った。正確には言ってしまった、だ
俺が喋り終えてから彼女は黙ったまま
嫌われたか…と自己嫌悪に浸りながら体を離す
抱きしめた時、抵抗をしてこなかったから舞い上がったが違ったようだ

「こんな事言って…ごめん…自分勝手だって解ってる…俺の事嫌いに成ったなら…綺麗に振ってくれると助か………る…」

言葉は最後まで続かなかった
一度離れた温もりが再び俺の元に戻って来たから
それは紛れもないジャンヌだった
ジャンヌはギュッと俺の背中に腕を回して離さないと言わんばかりに抱きしめてきた
彼女の体は小刻みに震えている
そっと肩に手を添えると、ビクッと肩を跳ねさせたが拒絶はしなかった

「ジャンヌ…?」
「…なぃ…」
「え?」
「嫌いになんてならない…!!だって、私だって貴方の事っ……すき…なの…!!」

これは都合のいい夢だろうか
好きと玉砕覚悟で言った言葉に彼女は答えてくれた
か細くも好きと言ってくれた
寝て朝が明けたら夢だった、もしくはこれ自体が夢でまさかの夢オチパターンだろうか
どうしてもこれが現実なのか確かめたくてその小さい体をギュゥッと抱きしめる
確かに腕の中にある温もり
回された腕が少し強くて痛い

「夢…じゃないよな…」
「夢だったら…ランマルを恨みます…っ」
「っ…ジャンヌ…っ」
「ラン…マル…っ」

夢じゃない夢じゃないんだ
紛れもない現実なんだ
嬉しくて、幸せで、でも少し不安で…
互いの温もりを確かめたくて、俺達は神童に夕飯の準備が出来たと呼ばれるまで抱きしめていた…




その夜
俺は再びジャンヌの部屋へ訪れていた
俺達は無言のまま手を握って寄り添っていた
そんな時ジャンヌは口を開く

「私の力を手に入れたら…ランマルは帰ってしまうんですよね…」
「…あぁ…」

こればかりはどうしようもない現実
せっかく思いが通じたのにそれもあと少しで終わり
そんなのは嫌だった
そこで俺は、絶対と言っていいほど叶わないことを口に出す

「じゃぁ…俺は向こうに帰ったら、なるべく早く君の故郷を訪れるよ…そして君に会いに行く。…君がいなくても、君のお墓に行くよ…絶対」
「…それって…ニホンで言う輪廻転生って言うもの?」
「……そんななのかな…たとえお伽話でも少しの確立があるなら、それに賭けたい…君が好きだから。また会いたいから」

我ながら凄い事を言った気がする
でも、それに縋るしかなかった
ジャンヌは俺の言葉を聞いてニコッと笑った

「今は楽しい事だけ考えましょう?…たとえば、もし再開出来たら初めに何をしたいか…とか」

そういって笑う彼女にまた救われる
それと同時に遊戯心が芽生える
俺はトンッと彼女をベッドに押し倒す

「じゃ、こんな事とか…?」
「〜〜〜〜〜っ!!?////」

その瞬間ボッと火がついたようにジャンヌの顔が熱くなる
その反応にクスクスと笑ってしまう

「かっからかったのね!?///」
「ごめんごめん…でも、結構本気だったり…?」
「ランマル!!////」

顔を赤くさせ、頬を膨らませて怒る彼女はとても可愛く思えた
俺は体を起こしながらもまだクスクスと笑った

「悪かったって……でも、そっか…楽しい事か…じゃあ、ジャンヌ。俺を見つける目印は何が良いと思う?」
「目印?…それなら髪の色はどうかしら」
「俺の髪?」

予想外の答えに驚く
まさか自分の髪の色が出て来るとは
あまり自分の髪の色は好きではない。小さい頃から女っぽいと言われてるから

「えぇ、そのピンクの髪の色。とっても綺麗で…私は好き」

好き。という何気ない言葉に胸が高鳴る
なら…と呟き俺はジャンヌの髪を指に絡めて、唇に持って行く

「ジャンヌを探す目印も髪の色…だな。このベージュの髪…優しい色で、ジャンヌそのものだ」
「あ、ありがとう…////」

二人して顔が赤いけど、それ以上に幸せでクスリと笑う

そして現代へ帰ってから俺は気づくんだ

俺の髪の色とジャンヌの髪の色を混ぜれば、綺麗な薄ピンク色になる
彼女の覚悟と俺の決意の意思が詰まったあの姿の髪の色になる事を…
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