桜と誠と鬼と鷹

□第一章
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「…さて、本題に入ろう。まずは改めて、昨晩の話を聞かせてくれるか」


近藤さんの言葉に一は頷いて話し始めた


「昨晩、京の都を巡回中に浮浪の浪士と遭遇。相手が刀を抜いたため、斬り合いとなりました。隊士らは浪士を無力化しましたが、その折、彼らが【失敗】した様子を目撃されています」


そういった後、一は千鶴に視線を向けた


「私、何も見てません」

千鶴がそういうと土方がふっと笑った
え、なに、お前。なんで初っ端からデレ期なの!!?
俺の周りをケチャップだらけにしたいの!!!?


「なあ。おまえ、本当に何も見てないのか?」


「見てません」


千鶴は再度きっぱりと言う
と、ここで急に眠気が襲ってきた


(まさかのここでぇぇぇぇぇ!!!???)


そんな俺の意思とは裏腹に、意識は闇へと飛んで行った







どれくらい寝ていただろうか、なんか浮遊感が否めないのだけど
………って!!


『これどーゆう状況ですか左之助さん』


「あぁ、起きたか」


状況を確認すると、俺は今、左之に担がれてんのか?
背中しか見えないから何とも言えないが
というか担がれたら俺が女だってばれるんじゃね?


「……イグ」


「ん?なんか言ったか…って、痛っ!!」


『あ、ワリ。お前に当たったか』


無意識にイグを呼んでいたらしく、俺が担がれている反対側の肩にイグが止まっていた
左之が痛いって言ったのは多分爪が食い込んでるからだと


「な、なんだ?……鷹か?」


『いや、見て分かるよな。……それよりイグ、お前どこ行ってたんだよ。探してたんだぞ』


《すまない主。ちょっとそこら辺を散歩…》


『俺が一大事の時に何してくれちゃってんのお前!!?呑気にもほどがありすぎるよ!!』


《すまん》


『ごめんですむなら警察はいらねえの!!』


「ま、待て待て待て!!お前、こいつと話せるのか!?」


左之はそうとう驚いているらしく、あわあわしてた
お、この左之貴重だな
ちなみに何故、イグが喋れるのかはまだ秘密にしておこう


『まあなー』


「軽いな、おまえ。これから殺されるかもしれねぇってのに」


『あんな殺気に負けてるようじゃ男が廃るわ』


「潔いなお前」


『大らかと行ってくれい』


蛍は左之と仲良くなった
levelが1上がった
蛍はスルースキルを5アップさせた


『コマンドやめい』






部屋に戻された俺達は暇を持て余していた
千鶴はずっと渋い顔
何となく笑顔にしたいなぁとか思って思い切って俺の性別を話した


『千鶴』


「はい?」


『俺ね、本当は女なんだ』


「え…えぇぇえぇ!?」


やっぱり間違えていたらしく千鶴は凄い驚いた
まぁ、ずっと男として生きてたから無理もないんだけど


「じゃあ、蛍ちゃん?」


『んー…そうなんだけどさ、ここでは俺を男として扱って欲しいんだ』


「え?」


どうして?と顔に書いてあるような気がして笑いそうになったけどそうしたら千鶴が怒りそうだから必死にこらえた


『もともと俺は小さい頃から男として育てられたから今更女扱いってのもなれねぇしさ……悪いな、折角気軽に話せそうなのに』


「え?」


『千鶴も女だろ?顔立ちとか、仕草とか、声の音域とか明らかに女の子だしさ』


「ばれちゃった…ね。私ってそんなに分かりやすいかな?」


『多分幹部の奴らの殆んどは気づいてるだろうな』


『えぇ!!?……………うーん』


そうして千鶴がまたなにか考え始めた時に眠気がまたしても来てしまった
…バットタイミングで来るよないつもいつも



そうしてウトウトしてたら、誰かとぶつかった音と声がした


「おまえな。本気で逃げだせるとでも思ってたのか?」


『……!』


その土方の声に俺は慌てて起き上がる
危ない。俺の好きなシーン見逃すとこだった
土方の方を見てみると、千鶴が猫のように吊り上げられていた


「は、離して下さいっ!!」


「話したら逃げるんだろうが、この阿呆」


「でも、死にたくないですから!…それに私……私、しなくちゃならない事が――」


「ふん…年端も行かねえ小娘が下手な男装までして何を果たそうってんだ?」


「それは………え?」


千鶴はそのまま反論を続けようとしたが、土方の"小娘"に気付いて抵抗をやめた
…やっぱし気づいてたな。でも、俺の男装は見抜いてないだろうな…


「あの、土方さん…あの、今、小娘って」


千鶴がそういうと山南さんは納得したように頷いた


「……なるほどね。やはり女性だったんですか、貴女は」


「……え?」


「どう見ても女の子だよね。君は、綺麗に化けたつもりかもしれないけど」


「……えぇっ!?」


『ほら、俺の言ったとおりだろ?殆んどが気づいてるって』


俺は起き上がって千鶴の傍に行くとポンッと頭を撫でた
それでもまだ驚いてるみたいだった


『大丈夫だって、この中に一人だけ気づいて無かった人居るみたいだし』


そう言って俺は近藤さんの方を向く
近藤さんも千鶴が女だって事に驚いてる様子だ


「…この近藤勇、一生の不覚!まさか、まさか君が女子だったとは!」


『な?』


千鶴は近藤さんをみてホッとため息を着いた
それを見、土方が口を開いた


「命を懸けられる理由があるんなら、誤魔化さずに全部吐け……良いな?そこのお前も」


『うーい………(土方の好感度がアップしました☆)』
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