聖帝様と秘書

□仕事4
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「………ごめんね…」

闇に染まっていく私とは大違い
暗い道しかなかった私とは…違いすぎる
彼ら雷門が天使なら、私は堕天使
堕ちてしまった哀れな天使だ

「姉さん?」

「ごめんね…私がしっかりしてなくて…頼りなくて…もっと…もっと…私が貴方の事…支えられれば…」
「姉さん」

ギュッと小さな温もりに包まれる
それは紛れもなく太陽の温もり

(砂のにおいと…太陽のにおい…安心する)

この子を失いたくないんだ
決して
一人ぼっちだった私に暖かな場所を作ってくれた子
まさしく…名前の通り…太陽のように暖かい

「姉さん…姉さんは頼りなくなんかない…しっかりしてるし、ちゃんと僕を支えてくれてる…僕の本当の家族よりも…大切な家族だよ…」
「っ…弟に慰められる私って……ふぅぅうっ…」
「あーもう…泣き虫だなぁ…」

ポンポンと背中を軽く叩いてくれる
そのリズムが心地よくてますます泣きたくなる

「…試合終わったら…いっぱい説教しようとしたのに…っ…貴方の顔見たらそんな気になれなくて…っ」

ボロボロと涙が零れ落ち、太陽のユニフォームにシミを作る
と、その時

「え…」

腕の中にある温もりとは別に私達を包み込む温もりが突然現れた
視界の端に黒のストールが見えた
え、ちょっ…まさか…

「しゅっ……聖帝!?」
「大丈夫か…?太陽、煉」

まままままって!!今、修也に抱きしめられてる!!?
ちょっ、状況が呑み込めない!!

「せっ、聖帝…なんで此処に…」
「お前が…泣いてるから…それに太陽が心配だったしな…」
「豪…あ、いや聖帝…ありがとうございます…負けきゃいましたけど…」

修也は体を離すと私達の顔を交互に見た
そして、優しく笑った
今まで人前で聖帝としての表情しか出さなかった彼が
前の様に…
そこで、此処がグラウンドだった事に気付く

「ぁ…////」

一部始終を見られていた事に今更ながら気づき顔が熱くなる
目の前の修也もその事に気付き、顔を少し赤らめる
ていうか本当に私達だけしか見えてなかったのね…

「あれ…姉さん…右目…」
「え…?」
「っ!!…煉、お前右目から涙が…」
「えぇ!!?」

慌てて右目付近を触ってみると濡れているのが分かった
今まで一度も流れなかった右目から、今、やっと流れ出した

「……本当だ…」
「姉さん……たとえ僕達が暮らしていけなくても…僕は絶対姉さんを裏切らないから」
「え?」

この子はいきなり何を言うのだろうか
でも太陽は本当に幸せそうな顔をしていた
私はそれも見て、釣られて笑う

「…帰ろっか」
「うん!!」
「あぁ…太陽、歩けるか?」
「あ、はい、大丈夫です…っと」

二人が医療班と共に外に出たのを確認し、私は歓喜止まない雷門イレブン達を見る
先ほどまでここにいた松風君もそちらに加わっていた

フィフスはそろそろ終末を迎える…
きっと、彼らが革命を成功させる
今はただ願うのみ

(その前に、太陽に説教しなきゃなぁ…また泣きながらするんだろうけど…)

私は苦笑しながら、その場を去る
きっとこの先何があろうとも、絶対に乗り越えてみせる…何があろうとも




その私の後ろで
雷門にとって致命傷な事態が起こってしまったのを
私は知らない
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