短編

□シュウくんは泣き虫で恥ずかしがり屋…らしい
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「名前ー、いちご牛乳買ってきてよ。」

『…は?』



昼休み。

突然松風に「シュウが呼んでる」と屋上に呼び出されたと思えば、突然のシュウのパシリ発言。


『…いや、自分で行けよ。』

「だってめんどくさい。」


そう言うとシュウはお金を投げて来た。


『おい金投げるなって!……、ん?


…お前二つも飲む気かよ…』


投げ渡されたお金を良く見れば、調度いちご牛乳二つ分あった。


「…良いでしょ別に。早く買ってきてよ、昼休み終わっちゃう。」


そう言うとシュウはさっさと地面に座って、購買で買ったであろう焼きそばパンを頬張り始めた。



『……これが恋人に対する態度かな…』

俺はなるべく聞こえないようにと願いながら抑え切れなかった言葉を呟くと、俺は屋上を後にした。




――――――――












ガコン、といちご牛乳が取出し口に落ちた音が廊下に響く。



『はあ……』



溜め息をつくしかない。


シュウは普段からああいう態度なんだが、それはアプローチしまくってやっと付き合い始めた今も変わらないらしい。

周りの奴には「シュウは優しい」とか言われてるが絶対嘘だ。

シュウとは手を繋いだ事も無いし、繋ごうとすれば凄い勢いで振り払われて手を拭かれる始末だ。なにこれ酷い。


この前なんか抱きしめようとしたらシャーペン向けられたし。



…以上の事もあって(まあ他にもあるが)、俺は最近シュウは嫌々付き合ってるんじゃないかと思うようになった。

それなら凄い勢いで手を振り払われて拭かれたのも、抱きしめようとしてシャーペンを向けられたのも合点がいく。


そして本当は認めたく無いが、そうかもしれないと思い白竜に相談するも、生温い視線を返されただけだった。




『……もう、駄目かなあ』




ぼーっと考えながら歩いてたら、もう屋上に着いたらしい。

目の前の少し錆び付いた扉を開けると、そこにあった筈のシュウの姿は無かった。



「遅い」


『…いや、ごめん』



…どうやら照り付ける日差しの下から日陰に移動したらしい。
シュウは大きな日陰になっている貯水タンクの脇に場所を取っていた。



「早くいちご牛乳頂戴」


『はいはい』


差し出された手をいちご牛乳を置くと、すぐに付属のストローを差して飲みはじめる。


『…もう一個の方は?』

「置いといて」

『………。』



残された方のいちご牛乳を、言われた通りシュウの横に置く。



「………」


『………』


「………」


『………』


「………」




『………なあ、』




…まあ、俺も初めて恋人が出来たのでどうしたらかいいか分からないのだが、とりあえず今流れている気まずさはお互い緊張からくる気まずさではない事はわかる。

だからなのか、この沈黙を使って、ついに俺は悩んでいた事を話す事にした。




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