ころしやものがたり

□第1話 高町切嗣
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 朝7時

 綺麗な栗色の髪の毛を腰まで伸ばした女性が台所で野菜スープを作っていた。スープを少し掬って一口味見をする。

「うん、バッチリ」

 満足のいく味だったのか、ニッコリと微笑むと鍋にかけていた火を止めた時、玄関から声が聞こえてきた。

「あ、帰ってきたのね。じゃあよそっちゃいましょうか」

 彼女は楽しそうに朝食の準備を進め、朝食の準備が完全に終わったと同時に三人が部屋に入ってきた。

「恭ちゃん容赦ないよ……」

「訓練なんだ、当たり前じゃないか」

 メガネをかけた長い黒髪を三つ編みにして纏めている少女がブツブツ文句を言うも、黒髪の青年は取り合おうとしない。

「桃子、今帰ったよ」

「おかえりなさい朝食出来てますよ」

 長身で黒髪の男性は朝食を作った女性と微笑み合うと席につき、そして思い出したかのように周りをきょろきょろ見て女性に話しかけた。

「そういえばなのははどうしたんだい?まだ起きてないのか?」

「ああ、なのはにはあの子のタオルを変えに行かせましたよ」

 その言葉を聞いた瞬間男性陣の表情が一変した。

「なのはを同い年とはいえ男の子の元に一人で行かせただって?!」

 男性の発言に青年は一瞬ポカンとした様子だったが、何かに気が付くと同じように叫んだ。

「えっ……そ、そうだ!冗談じゃない!男は狼なんだ!そんなところになのはを一人にしておけない!」

 男二人がギャーギャー騒ぎ出したのを三つ編みの少女はそれを苦笑いしながら見つめる。そして二人が二階に上がろうと振り向いたところに、愛娘のなのはと昨日倒れていた少年が階段から降りて来た。


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