夢小説

□第4.5話 足立さん視点 答え合わせ
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俺は、何気ない顔をして自分のデスクに戻り報告書を仕上げる。
不意に肩を叩かれ、顔を向けると名前も知らない同僚らしき男が立っていた。
おい、仕事はどうした?
ここの奴らはみんな暇なのか?
「お疲れ。猫、見つかったんだって?お手柄じゃん」
「ど、どうも」
「こんなに早く見つかるってことは、もしかして前の職場でも猫探しが仕事だったのか?」
「はは、んなわけないじゃないですか〜」
「そーか!そりゃ悪かった!」
と、豪快に笑い飛ばす知らない同僚。
危なかった。もう少しコイツと話してたら殺してたかもしれない。
知らず知らずのうちに、ホルダーに入れている拳銃に手が伸びていたようで慌てて膝に両手を乗せる。
ちらりと、時計を確認するともう十一時五分。
あぁ。そろそろだ。
ニヤけそうになる顔を引き締めて、俺はまた報告書に集中した。

しばらくして、堂島さんが気づいた。
「おい。杉田はどうした?」
「え?戻ってきて手を洗いに行くって、それからは見てないですよ?」
「そうか」
「どっかでサボってるんじゃないですか〜?」
「小林じゃあるまいし…って小林はどうした?あいつもトイレ休憩に行くって言って……!」
鋭い堂島さんは気がついたようだ。
でも、もう遅い。いまごろ小林に……。
その時、廊下からバタバタと言う誰かの足音が聞こえた。
「だ、誰か!一階の倉庫の部屋の鍵を知らないか!杉田が小林と一緒に閉じ込められてるみたいなんだ!!」
「なんだって!!おい、森田はどこだっ!」
「森田は今の時間、三階の自分のデスクに戻ってるはずだけど…」
「くそっ!おい!森田を連れてこい!今すぐ!」
鋭い舌打ちと共に、堂島さんは勢いよく立ち上がった。
なんでそこまでして、あの女の肩を持つのか?
何か弱みでも握られてるのか?
今度、聞いてやろうと思いつつ堂島さんに近づく。
「まぁまぁ堂島さん。そんなピリピリしたって、意味ないですよ。真白ちゃんなら大丈夫ですよ。あの子も刑事なんでしょ?」
「っ、そうだが……」
「だから心配いりませんって!…あっ。森田さん見つかったみたいですよ!早く行きましょう」
「あ、あぁ」
渋る堂島さんを連れて倉庫に走る。
こんなに興奮したのは初めてかもしれない。
ちらりと時計を確認すると十一時三十分くらいだった。
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