澤村大地

□君との距離まで
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週明けの月曜日の放課後。
私は友達と共に男子バレー部の体育館を覗いた。

「失礼します。見学してもいいですか?」

澤村「え?見学!?…あぁ、スガのファンの!
   どうぞどうぞ。」

「いや、違っ…」

ニコッと笑った笑顔の奥に少し怖さを感じる先輩が、入口のネットを開けてくれた。

友達「どうもどうも!」

清水「危ないから二階にいた方がいいかも。
   流れ弾には気を付けてね。」

すっごい美人の先輩にお礼を言って、私達は二階へ登った。



「今日はアサヒさんって人、居ないんだね。」

友達「うん。」


澤村「ほらっ!声出していけー!
   来月には新入生が入って、おまえらも先輩
   になるんだからな!」

田中「センパイっ!いい響きだ!」

いつもより元気が無さそうだった田中と西谷の
やる気が少しだけ上がった気がした。

「あの人が主将だよね?ノせるのうまいね!」

友達「うん、本当!菅原先輩かっこいー。」

「はいはい。」







翌日の放課後も友達と一緒に体育館へ足を運んだ。

友達「今日は西谷もいないんだ。」

「教頭を怒らせて謹慎だって。」

アサヒさんも西谷もいないせいか、部員達はさらに元気がなくなったように感じた。







翌日。

澤村「あれ?今日は一人?」

「あ、はい。」

友達は元気のないバレー部を見るのに飽きてしまったと言っていた。
私は逆にそれが心配になってしまい、今日も見学に来てしまった。

澤村「いつもありがとな!」

“誠実”という言葉が似合いそうなこの先輩は、
ニッコリ笑いながら今日も入口のネットを開けてくれた。

澤村「おいスガ、ファンが一人減ったぞー」

「え、私はファンじゃ無…」

先輩達に私の声は聞こえなかったようで、そのまま二階へと登った。





「見学させていただきありがとうございました!
 失礼しまーす!」

「「アーッス!!」」

いつも通り、チームメイト同士の練習試合が終わってから体育館を出ようとした時に、美人マネージャーに声をかけられた。

清水「ちょっといい?」

「?…はい。」

清水「もしバレーに興味あるなら、一緒に
   マネージャーやらない?」

(マネージャー!?私が??)

「…すみません。
 私、バレーに興味はあんまりなくて。
 でも……………この間の大会を見てから、
 男子バレー部が気になっていて。」

美人マネージャーは静かに私の話しを聞いてくれていた。

「バレーの事、何も知らなくても……
 私でも何かお役に立てますか?」

マネージャーをやるなんて今まで考えた事もなかった。
でも今、声をかけられて私にも何か出来ることがあるならと思ってしまった。

清水「その想いだけで十分彼らのチカラになると
   思う。」

クールな顔が優しく微笑んでくれて、その笑顔もやはり美人だった。

清水「もうすぐ学年も変わるし3月は仮入部で、
   良ければ4月から正式にって感じでどう
   かな?」

「は、はいっ!よろしくお願いします!」

衝動的だったけれど、私にも出来ることがあるといいなと思い、少しウキウキした気持ちになった。
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