澤村大地

□虫よけTシャツ
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まだ仁花ちゃんがバレー部に入る前のこと。

西谷御用達のお店でTシャツを作ってくれた。
先輩達がみんなの分の四字熟語を考えてくれたらしい。
が、潔子さんと私の分は西谷と田中で考えて注文したらしい。

清水「………………なんでフルネームなの?」

ショッキングピンクのTシャツには大きく
『清水潔子』と書かれていた。

清水「あんたタチ、自分のばっかマトモに作って」

潔子さんが主将副主将に詰め寄った。

西谷「はい、古一の分な!」

「あ、ありがとう……。」

手渡された山吹色のTシャツを、私は開くのが怖くなった。

恐る恐る広げてみると、やはりフルネームだった。

『澤村大地』

「ねぇ……フルネームは四字熟語じゃないって
 知ってる?」

田中「だけどオメー、大地さんのこと大好きじゃ
   ん!色もお揃いだぞ。」

西谷「だよな!澤村大地でお前はできている!」

(嬉しいような恥ずかしいような…)

澤村「古一はどんなのだった?
   んなっ!俺の名前っ!?」

大地さんの顔が真っ赤に染め上がった。

「体育館内でしか着られないですね。」

澤村「え?着るの??」

二人で顔を見合わせて真っ赤になった。

結局写真を撮ったその日にしか着ることはなく、
自分の部屋に飾ったままだった。




しかし合宿に来る前の日、大地さんからそのTシャツを持ってくるように言われた。

澤村「着なくて済むかもしれないけど、念の為。」

と。


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そのTシャツを今 着てほしいと言われたのだ。

着替えて他のマネージャーさん達の元へと戻る。
暑くてジャージを羽織る訳にもいかず、やはり他校のマネージャーさん達からの集中砲火。

「いや、あの、さっきお茶をこぼしちゃって…」

女子相手にそんな言い訳も通用するはずはなかった。
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