澤村大地
□虫よけTシャツ
3ページ/4ページ
・
・・
・・・
まだ仁花ちゃんがバレー部に入る前のこと。
西谷御用達のお店でTシャツを作ってくれた。
先輩達がみんなの分の四字熟語を考えてくれたらしい。
が、潔子さんと私の分は西谷と田中で考えて注文したらしい。
清水「………………なんでフルネームなの?」
ショッキングピンクのTシャツには大きく
『清水潔子』と書かれていた。
清水「あんたタチ、自分のばっかマトモに作って」
潔子さんが主将副主将に詰め寄った。
西谷「はい、古一の分な!」
「あ、ありがとう……。」
手渡された山吹色のTシャツを、私は開くのが怖くなった。
恐る恐る広げてみると、やはりフルネームだった。
『澤村大地』
「ねぇ……フルネームは四字熟語じゃないって
知ってる?」
田中「だけどオメー、大地さんのこと大好きじゃ
ん!色もお揃いだぞ。」
西谷「だよな!澤村大地でお前はできている!」
(嬉しいような恥ずかしいような…)
澤村「古一はどんなのだった?
んなっ!俺の名前っ!?」
大地さんの顔が真っ赤に染め上がった。
「体育館内でしか着られないですね。」
澤村「え?着るの??」
二人で顔を見合わせて真っ赤になった。
結局写真を撮ったその日にしか着ることはなく、
自分の部屋に飾ったままだった。
しかし合宿に来る前の日、大地さんからそのTシャツを持ってくるように言われた。
澤村「着なくて済むかもしれないけど、念の為。」
と。
・・・
・・
・
そのTシャツを今 着てほしいと言われたのだ。
着替えて他のマネージャーさん達の元へと戻る。
暑くてジャージを羽織る訳にもいかず、やはり他校のマネージャーさん達からの集中砲火。
「いや、あの、さっきお茶をこぼしちゃって…」
女子相手にそんな言い訳も通用するはずはなかった。