澤村大地
□プール掃除
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『プール掃除』
6月に入ったばかりのある日。
雨が降り、蒸した日のさらに蒸し暑い体育館。
いつもの様に放課後の部活が終わり、烏養さんの周りに集まった。
先週のIH予選敗退をそれぞれ受け止めて、烏養さんの言葉一つ一つを今まで以上に全員が真剣に聞いている気がした。
監督の激励を受けた後、武田先生が連絡事項を伝えた。
武田「それから…明日は皆さんにプールの清掃を
手伝っていただきます。
なので水着を忘れずに持ってきて下さい。」
「…えっ!?」
日向「プールだぁー!!」
縁下「…の、掃除な。」
澤村「先生、プール掃除は水泳部の仕事じゃ…」
武田「実は水泳部の中で胃腸炎が流行っている
ようなんです。」
田中「だからって何でバレー部が?」
武田「すみません。
僕がじゃんけんで負けてしまって。」
(あぁ……。)
誰も武田先生を責める事などできなかった。
西谷「おい、龍!これはチャンスだぜ!」
田中「は?何の??」
西谷「もちろん……
…潔子さんの水着姿を拝むチャンスだ!」
田中と西谷は揃って潔子さんを見た。
武田「ま、まぁ女の子は色々ありますから、水着
じゃなくてジャージでも結構ですよ!
2人で決めて下さいね。」
女子マネージャー2人で顔を見合わせて、体育館の端で相談を始めた。
「どうします?私は終わったばかりなので水着
大丈夫ですけど。」
清水「私もまだ来ないから大丈夫。」
2人とも月に1度の“女の子の日”はクリアしたものの、水着姿に期待している坊主頭と小さな守護神を気にしていた。
清水「水着の上からジャージを着るのはどう?」
「いいですね!それなら万が一濡れても大丈夫
だし、視線も気にならないです。
実は私…プール掃除って少し憧れてたんです。
ミュージックビデオとか、CMとか、やたら青春
っぽくって、楽しそうだなーって。」
「なにそれ」と言いながら潔子さんは笑った。