短編
□大丈夫な大丈夫?
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side kazumi
「かずみんって好きな人とかおるん?」
その言葉は突然だった。好きな人にそんなこと、聞かれるなんてまったく思ってもいなかった。そもそも、なぁちゃんが恋バナまがいの話をしてくるなんて、珍しい。きっと何かあったんだ。失恋でもしたのかな。
『どうしたの?いきなりだね笑』
この話をしていたら、きっと私があなたを好きな気持ちが露呈してしまう。
「なんでもない、、」
がっかりしたような顔をされてしまった。そんな顔でも可愛いく感じてしまう私は、ファンの方と同じなのかな。少し違うか、だって私は本気で好きなんだから。
『なぁちゃんはどうなのさ、好きな人いるの?』
早く話を終わらせたいはずなのに、この探究心は、もしかしたら自分が傷つくかもしれないのい、、、
それでも、聞いてしまう私は馬鹿だ。
「おんで、」
『そっか〜、なぁちゃんに好かれてるなんてその人絶対、前世ですごい徳積んでるね。』
そっか、やっぱりいるよな。アイドルだからって一人の女の子だもんな。こんな可愛い子に好かれてるなんて羨ましいよ。誰かさん!!
「まぁ、片想いやけどな。その人、めっちゃ鈍感やねん。」
『そっか、そっか。大変だね。だけどね、なぁちゃん、私たち一応恋愛禁止だから気をつけね』
まさかの片想いですよ。誰かさんに伝えた過ぎる、あなたはこんなに可愛いくて、愛おしい人に惹かれていると。あわよくば、その場所変わっていただきたい。
「誰とか聞かんの?」
『なぁちゃんが話したかったら、聞こうかな』
なんて、作り笑いしながら強がってる。私って客観的に見たら相当、惨憺じゃないか。
「その人はな、昔から一緒にいて、すごく明るくてみんなに気が遣える人。みんなに優しくて、ずっと笑ってるかっこいい人。だけど、実はネガティブで一人で泣いてることもあるのにその姿は見せないで、強がってる可愛い人。ななはその人が好き。そして、今一番近くにいる人。」
なんだよそれ、なぁちゃんめっちゃその人のこと好きじゃん。完全敗北っていう言葉が今一番似合っているのはきっと私だ。
『めっちゃいい人そうだね。いつか、片想い叶うといいね』
「.......なんでなん」
『へ?』
「今ので、伝わらんかったら、もうどうしていいのか分からなんねんけど.....」
『え?!!なぁちゃん!何で泣いてるの?大丈夫?』
突然泣き出したなぁちゃんが言っていたことが、よく分からない。そもそも、何の涙なのかもまったく分からなかった。
「ななが好きなのは....かずみんやねん」
好きな人にそんな顔でそんな子と言われた、ときめかない訳がない。なぁちゃんは本当に守りたくなる人だ、儚い可愛い。今すぐに食べてしまいたいという欲を押し殺した。
『付き合おっか。』
君は大きなくて潤っている目をもっと大きく見開いて、動揺している。そんな姿はとっても可愛い。今日、家に誘って食べてしまおうかな。
なんだか私らしくないや。らしくなさすぎて、自分でも付いていけない。それもこれも、こんなに可愛い人のせいにしようか、それとも私の理性のなさにしようか。
君は快く承諾してくれた、警戒心がないな。私に安心しきってるのかな。
大丈夫だよ、なぁちゃん。
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