短編

□熱望3
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side nanase


今日、私は一目惚れをしました。横断歩道の向こう側に立っている彼に恋をしました。



今日は優里と陽菜とかりんで、謎解きカフェに行ってきた。気分転換しようと思い、いつもは使わない道で帰る。
乃木高の男子達がたくさん歩いている。男子は苦手だから、気配を消して歩いていた。信号待ちをしているとき、ふと顔を上げたら彼と目があった。

友達と楽しそうに話していた。笑った顔がすごく優しい。乃木高にもあんな人いたんだ。乃木高に彼氏がいる玲香が言っていたけど、乃木高の約9割がただの発情期の猿だとか。実際にななは男子が怖くて乃木女に入ったし、玲香が言っていたことも信じていた。

だけど、彼は違うと思った。直感だけど。これが

一目惚れなんだ。


信号が変わりいつも通り気配を消して、信号を渡った。だけど、彼に見つめられている気がした。



また会えないかな、、、、かれこれあれから一ヶ月は経ってる。その間、あの道にも行ったが会うことはなかった。彼の顔を思い出しながら、絵を描く。この一ヶ月間ずっと顔が浮かんできては消えていく。恋煩いかな。







放課後いつも通り倉庫前の美術室で絵を描いていた。

今日はやけに騒がしいな。倉庫近くはいつも静かなのに。ふと外を覗くと、彼がいた。


えええええぇぇ?!そんなことある?嘘やん。


重たそうな荷物を一人で運んでいた。汗をかいていて、前髪が濡れている。前髪をかき上げて、もう一人の男子に笑顔で話しかけている。さすがにイケメンすぎるやろ。

とりあえず気持ちを落ち着かせて、キャンバスと向き合う。

窓のほうから視線を感じる。彼が覗いていた。目が合って、慌てている。かわいい


『どうかしました?』


「ふぇっ?!、、え、、」


どこからその声出してるん?可笑しくて笑ってしまった。そしたら、律儀に自己紹介をしてくれた。
高山かずやくんかなんか名前もかっこいいな。ていうか、怪しい者ではありませんって言う人現実で初めて見た。そこを指摘したら、あごをかきながら謝ってくる。

少しだけ高山君のことが知れて嬉しかった。だから、仲良くなりたいと思った。素直に話したいと目を見ていったら、顔を赤く染めて何かを言いかけたが、友達に遮られた。
なんでこんなタイミングが悪いねん。だけど、高山君の困った顔が可愛いくて、帰ることを催促したら、


「あ、、僕らもう会えないですかね、、、」


え、なにそれ。可愛い過ぎる!!!なんなんこの子。なんか意地悪したくなって


『、、、、どうやろな。私に会いたいですか?』


「はい!!すごく会いたいです」


まさかそんなまっすぐに返されるとは思ってなかったから照れてしまう。会えたらいいですねと言うと嬉しそうに手を振りながら、走っていった。



かっこいのにかわいいくて面白いのはずるいな。優しそうだったし、なんか犬みたい。また会えたらいいな。
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