短編

□熱望4
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side kazuya


高山は勇気を出して西野さんを遊園地に誘うことに成功しました。

僕のぎこちない文章に可愛い(白色の目が大きくて足が生えた生き物)スタンプで「行こ行こ!」の肯定文。嬉しくて、よっしゃー!と叫んだのはここだけの話。



集合場所に30分も前についてしまった。さすがに早すぎるよな。

今日はデートでもあるから、オシャレをしてきた。まぁ、弟のあすにお任せしたけど。オシャレ番長なのは確かだ。普段からジャージか稽古儀しか着ない僕からしたら、違和感でそわそわしてしまうけど。

ふと自動販売機を見ていると、目隠しをされた。


「だーれだ!」


この甘え声に赤ちゃんみたいな匂いは西野さんだけど、早くないか?集合時間よりも20分は前だぞ。ていうか、手が柔らかい。


『、、、西野さん、、かな?』


「ぶっぶー!西野さんではないかな」


『え?!えっと、、、』


「下の名前は?」


『七瀬さん?』


「せーかい!!今日は西野さんって呼ぶの禁止な。」


『わかった』


待て待て、今日の西野さんなんか可愛いすぎないか。いつもと違う。私服だと全然印象変わるんだな。大人っぽいかわいいさがいい。


『今日はすごく可愛いね。いつも可愛いけど』


「え?、、、、」


あれ、照れてる?可愛いすぎるだろ。僕は今日生きて帰れるのだろうか。




遊園地に着き、最初はどこから行こうかと考えていると、西野さんに手を引かれてジェットコースターの前に来てしまった。ここまでくる途中で今日は緩く行こうねなんて話していたのに。一発目はジェットコースターか。

普段は物静かな感じなのにジェットコースターが落ちる瞬間の大声にはびっくりした。というか、横顔も可愛いすぎる。


次は空中ブランコ。地上から約60mの高さでブンブン振り回される。笑顔でキャッキャと楽しそうにはしゃいでいる西野さんに、癒ししか感じられない。


その後も、しばらく遊び少し遅めの昼食をとろうとオシャレなお店に入った。そこで面白いことに気づいた。

西野さんと僕の好みがまったく合わないということだ。

僕はにんじんが苦手で甘いにんじんしか食べれないけど、西野さんはそうでもない。

西野さんはいんげんとアスパラガスが好きで、僕はそれほどでもない。

西野さんは芋系は全般好きだけど、里芋は好きではない。僕は里芋が好きだ。

好みがまったく合わないことがきっかけで前よりも仲良くなれた気がする。


ご飯を食べ終わったあともしばらく遊び、気づいたら結構遅い時間になっていた。夕日が落ちる時間はやっぱり観覧車だよねと二人で笑いながら観覧車に乗った。


『今日どうだったかな?女の子と遊ぶなんて小学校ぶりでさ、めっちゃ緊張したんだよね。』


「めっちゃ楽しかったで。一つ気がかりなことはあるけどな」


『え?それって聞いても大丈夫なやつ?』


「聞いてほしいやつやな」


『お聞かせくださいまし』


「かずや君が一回も名前で呼んでくれないことかな。」


えええぇぇぇ!まさかの、呼び方?!やばい可愛い悶えてるわ今。やば、キュンだ。


『えっと、七瀬さん?』


「呼び捨てかな」


『それは、ちょっと、、、七瀬ちゃんじゃあダメかな?』


「、、ええんとちゃう?」


これは拗ねてます?気のせいです?何でも可愛いけどさ。


『僕は女の子の友達がほとんどいないし、女の子に免疫がなかったんだ。七瀬ちゃんと会うときだって、いつもドキドキしてて、自分が自分じゃないみたいでさ。でも、よく考えてみたらみさ姉や他の女の子と会う時はドキドキしないだ。今日も一日中ドキドキして、七瀬ちゃんに触れられるともっと激しくなる。でも、この感覚がなんなのかよく分からないだ。』


今日一日で感じたことや今までに思っていたことを七瀬ちゃんに話してみる。僕の話を真剣に聞いてくれて、


「それって、恋かもな」


恋?そう言った西野さんは頬を赤らめていた。もしかしたら、夕日でそう見えてしまったのかもしれないけど、僕が見えているこの景色はとても綺麗だ。


その後は西野さんを最寄まで送り、帰りに若と連絡をとった。恋について色々聞いていると、今日一日のことを思い起こして、ドキドキがとまらなくなった。


僕は西野さんに恋してたんだ。今まで感じていたこの感覚は恋だったんだ。





..


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