ドラマ展開にしてみよう
□3話 初授業
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side sayaka
カシャ
私の大嫌いな音がなった。私は、シャッターを切る音が嫌いだ。すごく恐い。どこかに閉じ込められたような気持ちになる。その、音のほうを振り返ってみるとカメラを首からぶら下げている、綺麗な顔をした人がいた。
『盗撮は立派な犯罪ですよ?』
「すみませんでした。」
『それはいいんですけど、撮った写真消してもらってもいいですか?』
そういうと、彼女は驚いた様子でこちらを見つめてきた。なんだか、その反応がおかしく笑ってしまいそうになったが、盗撮はいけないことだからちゃんと注意しなければならない。
『あの、今すぐに消してください。じゃなかったら、訴えますよ?』
「え、あ、、すみません。今消しますね。」
『次からは気をつけてください。捕まりますよ。』
あわてて消す姿がとても可愛いかった。そんなに、焦らなくてもいいのにとも思ったが、あきらかに私のせいだった。
あの子とまた会いたいと思ってしまった。盗撮されたのにもかかわらず。
不思議にもまたすぐに会えた。
私は小さいころから教師になるという夢を持っていた。そして、もう少しで叶う。ちゃんとした教師になるための場として設けられた教育実習を全身全霊頑張りたいと思った。
それにしても、先生が迎えに来るのが遅すぎる。なにか、あったのだろうか。そう思っていたら、あなたが来た。盗撮犯と口をついて出てしまったが、正直とても嬉しかった。
また会えたことが年甲斐にもなくテンションが上がってしまった。
だけど、冷たすぎるやろ。目も合わないし、ずっと気まずそうにしている。やっぱり、訴えるは言い過ぎてしまったのだろうか。
『そかそか、でもまぁ仲良くしよな、夢莉ちゃん!!』
そう言うととても驚いた顔をした。冷たいし無表情だと思っていたが、とても可愛い。
勢いで夢莉ちゃんなんて呼んでしまったが、さすがにほぼ初対面の人に名前で呼ばれるのは怖いよな。
教壇から眺める景色はとてもいい。みんなの顔がちゃんと見える。緊張はしているがそれよりも、これからは授業をしなければならないと気を引き締める。
みんなが次々に質問をしてくる中、つまらなそうに窓の外を見る太田さんが目に入った。どこか儚く、そして美しい。女の私が見惚れてしまうくらいに、綺麗だった。
お昼休みになり校舎内をぶらぶらしていると、非常階段から出てくる太田さんを見かけた。お弁当を片手に持っていたから、非常階段で食べていたのだろう。だけど、いじめられてるようには見えなかった。もしかしたら、冷たいのは私にだけじゃないのかも。
『なぁなぁ、太田さんっていつも一人でご飯食べてんの?』
「なんでですか?」
『ん?さっき非常階段から出てきたし、お弁当箱もってるからそうなんかなって。』
「そうですね。いつも一人ですよ。」
『ふーん。寂しくないん?私は寂しいで。』
「そうですか。」
いつも一人で食べているのか聞いたとき、少し顔が歪んだ。きっと、なにも聞かれたくなかったのだろう。しかし、あんな薄暗くてほこりっぽいところで食べるご飯なんて美味しくないと思った。学校にいるのに、一人で食べるなんて、すごく寂しいじゃないか。
「図書室です。行きたいなら勝手にどうぞ」
やっぱり冷たいな。勝手にどうぞだなんて。でも、断られなかったから意外と冷たくないんかも。
「嫌いというか苦手ですね。、、、、でも、興味はあります。」
私のことが嫌いか聞くと、苦手だけど興味はあるといわれた。どういう意味なのだろう。興味があるなんて言われたことがなかったから、胸の奥のほうがギュッとした。
それからは、ずっと本を読んでいる太田さんを見ていたがなぜかドキドキする。集中している顔がとても魅力的だ。
「あ!!山本先生こんなとこにいた!!もう探したんですから!!」
静かだった図書室に突然大きな声が響く。彼女は中野さんだったかな。
私は、朝言ったことを忘れてしまっていたらしい。緊張していたから、なにを話したのか正直覚えていない。だけど、約束を破るわけにもいかないから、太田さんに
『太田さん、またな?』
そう伝えると、寂しそうな顔をした。まさか、そんな顔をされるとは思わず驚いてしまった。さすがにそんな顔をされたら、いきたくなくなってしまう。