白刃の城book

□氷の上のメサイア
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ハレルヤ。
わたしの魂よ、主を賛美せよ。






真っ赤な、―真紅というよりは深紅が床に広がった。
それと共に潮風に鉄の混じった生臭さが鼻をつく。
その凄惨な光景の中、月を背景に、男はまるで舞台役者のように立っていた。
服も髪も闇に溶ける漆黒だというのに、彼の姿は闇に紛れない。
手にしたカットラスは白銀の刃を血に染めながらも白く輝き続ける。
傍らに転がる幾つもの肉片は、彼を引き立てる傍役でしかない。
静寂を破ったのはたった一人の観客であった。
パチパチ、と、乾いた音がして、黒縁の眼鏡をかけた音が手を叩きながら背後から黒髪の男に近付いた。
その大袈裟ともとれる動作は、どちらかといえば舞台監督、という表現の方が相応しいかも知れない。

「お見事、流石だB.B」

良く通る声だった。
黒髪―B.Bと呼ばれた男は首だけを捻って、男を見た。見た、というにはその視線は穏やかではない。もし視線だけで人が殺せたならば男は命を落としていることだろう、それほどに鋭く、険を含んでいる。それでも、男は気にした様子も見せず、ただただ満足げに表情を和らげる。
赤に染まった白いコートを風に翻し、左手に長銃、右手にはカットラスを握り、B.Bは低く唸った。
それを眺めながら、男は笑う。自分の手に入れた美しい"美術品"を鑑賞するような視線でB.Bをみながら。

「あぁ、本当に見事だよ、B.B」

もう一度、男は満足気に呟いたが、その声を耳にした者は誰もいなかった。







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ノリでサイト廻りをして、ノリで書いてみよう、と文章を打ち始めたら、あれ、これ長編もしくは中編の書き始めじゃね?
ごめんなさい詳しいことは解らないです知識零(笑←





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