OPERATION LOVE
□OPERATION LOVE*12
3ページ/11ページ
実現させるつもりのなかった
「今度」と「また」と「いつか」が
現実のものとなったのは
所属レコード会社の何十周年目かの記念パーティーの後だった。
「なあ、おまえ・・・
この後なんかあるん?」
会場の出口に向かっていた背中に、ふいにそう尋ねられ、
別に何か理由をつけて断わってもよかったのだけれど、
自分ばかりそんな意識をするのも、
もうかえっておかしいような気がして・・・
「いえ、別に・・・」
と、つい答えてしまったんだ。
それにその時点では、当然、
昔の仲間やスタッフ、みんなでどこかに流れるとか・・・
そういう話だと勝手にボクは思っていた。
ところがあなたは・・・
すぐにエレベーターへとボクを促すと、
マネージャーたちを「今日はここで。」と制して
自分だけが乗り込み、
「上のバーでええよな?」
といいながら、
<52>のあとすぐに<CLOSE>のボタンを押して
そのドアを閉じてしまった。
天空に向かい高速で吊り上げられるその箱の中で、
ボクは・・・
後から乗るひとたちのために作ったスペースを
縮めることもできないまま、
かつてあんなに愛し合った
そのひとの背中を
そっと
ただ見つめていた。
.