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□cherish 15
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91 one piece





「明日は節分だ。
豆まかなくちゃね。
マメ、マメ!」



「は?・・・そんなんやるん?」


「ええ?やらないの?
ああ、あっちでは恵方に向かって巻寿司一気食べ・・・だっけ?」



「・・・小さい頃はやったような気もするけど・・・」



「せっかく季節のある国に生まれたんだから、
季節の行事は大事でしょ?」


「ああ・・・」




「今年は、運良く『年男』さんもいらっしゃるしねー。」


「まーな・・・」





「えっと、豆は数え年の分だけ食べるんだから・・・
24個と22個だね。結構たくさんだ。
小さい頃ってさ、ちょっとしか食べられなくって
つまんなかったよねー・・・」



「そ、そうか・・・?」




「そうだったよ。
『福はー内、鬼は・・・』
・・・」



「・・・どうしたん?『鬼は外』やろ?」




「鬼なんていないよね・・・」



「・・・え?」




「この世のどこにもホントの鬼なんていないよ。
自分のうちにいなければそれでいい、っていうのも違うと思うし。
みんな、どこでも『福』がいい。」


「・・・」



「ねえ、うちの節分は
『福はー内、福はー外』にしよ?
うん、それがいい。
『福はぁー内!福はぁー外!』」



「・・・おまえ・・・」





「あ・・・でもさ、
そもそも鬼がいないなら、
豆まいて追っ払う必要ないじゃん。
じゃあ、豆、いらなくなっちゃう?・・・はは・・・
えー?どうしよ・・・
でも、食べたいからいっか・・・」


「・・・」






ぎゅっ。






「ど、どしたの?」



「・・・」



「・・・あ・・・わかった・・・
またほら、セツブンだからセップンとか、
そんなん考えてるんじゃない?
もー、困っちゃうなー・・・」




「・・・黙れ・・・」



「へ?」




「今、おまえのこと、もっと好きになってやったから、黙れ・・・」



「え・・・」






「俺の『福』はおまえや・・・」


「・・・」




「おまえがいてくれて・・・よかった・・・」






「・・・」


「・・・」






「節分が終われば、もう春なんだよ・・・」



「・・・ああ・・・」




「また、新しい季節がはじまるよ・・・」



「そやな・・・」









20080203

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