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□cherish 9
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31 first time we did it






「先輩・・・すみません・・・」


「・・・ん?どうしたの?」



「私・・・耳が腐りました。」


「はぁ?」



「きのうのインタビュー、起こしてたんですけど・・・
これ聞いてみてください。」






―錦戸君、金髪になさいましたけど、どう思います?


―思い出しちゃいますね。初めて・・・った頃のこと・・・







「これが?」


「私何度繰り返し聞いても・・・まともに聞こえなくて・・・」


「なんて聞こえんの?」



「『会った』じゃ無くて・・・『やっ』・・・」



「・・・ははは・・・まさか・・・」



「そうですよね・・・いくらなんでも、そんなはずないですよね。
すみません。」



「あ・・・待った!」


「え?」


「もう一度流してみて・・・」


「・・・はい?」





―錦戸君、金髪になさいましたけど、どう思います?


―思い出しちゃいますね。初めて・・・った頃のこと・・・





「・・・うーん・・・」


「・・・なにか・・・?」




「これは『やった』だ。」


「え?デスク・・・?」




「だって、あいつら、グループ一緒になる前、
ジュニア時代だって会ってるだろ?
まだ金髪じゃない頃に・・・」


「あ!」


「そうなんですよね・・・私もだからひっかかって・・・」




「・・・まったくあいつはホントに天然だな・・・」


「確信犯かも知れないですよ・・・」


「・・・まさか・・・」


「いずれにしろ、恐ろしいですね・・・」


「・・・うん・・・」






「あの・・・で、どうしたらいいでしょうか、原稿?」



「そうだな・・・『初めての頃』にしとけ。
それで気づくやつは気づくだろ。
わからないやつにはわからないままでいいんだし・・・」


「ハイ・・・わかりました。」





「奥が深いでしょ、この世界は・・・」


「はい・・・わかってはいたんですけど、
そんなに前からとは・・・」


「え・・・?」
















―赤ちゃんのうぶげみたいなんですよ・・・上から見ると・・・


「先輩・・・この『上から見る』ってどういうときなんでしょう・・・?」

「・・・わ、私に聞かないで!」







20070621

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