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□cherish 22
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151 focus






そういえば・・・
写真がいるんだった。




「みんな、悪いけど、
番組で使う写真、1枚撮らして。」





リハーサルの休憩時間、
急に思い立ち、みんなに頼んだ。





「えーっ?今ぁ?」

「こんなかっこで?」

「ノーメイクだし。」

「汗だくだよ?」





そりゃ、ま、みんな一応アイドルで、
なかでもこっちは正統派王子様グループってことになっており、
こんなにヘロヘロな姿を晒すのは憚られるかもしれんけど・・・




「たまにはええやん。
素の姿を見せるっていうのも。
とにかく早く1枚撮らせてや・・・
はい、集合ーっ!」






「しょうがないなー・・・」

「チェックしてダメだったら出さないでよ。」




ブツブツ言いながらもみんな集まってきてくれた。





「あっ、俺、撮りましょうか?」



スタッフの一人が手を差し出す。




「そうだよ、6人でうつろうよ。」




うん・・・でも・・・



ちょっと考えた後、



「いや、ええ。俺が撮る。」



と断ってカメラを構えた。





上半身裸だったり、
タオルを頭に被っていたり
眉毛が無かったり・・・



いつもの気取った姿とはかなり違う
ハードな肉体労働後のガテン系王子様たちがファインダーの中に集まる。



ぶっ・・・

ま、これはこれでなかなかええんとちゃう?






「待って、待って・・・」



タオルを取りに行っていたあとひとりの王子様が
最後に左端に飛び込んできた。




レンズ越しに探す
いつもは俺だけにみせてくれる
普段着の笑顔とピース。




うん、それ。


それを一度カメラにおさめたかったんや。





カシャ・・・






「おっけー。サンキュ。」





「撮れた?見せて?」

「俺、目、開いてた?」




みんなが液晶を覗きに集まる。




「わ、なにこれー?」

「これ、ホントにはなまるで見せるの?大丈夫?」

「ギリだろー?」




「ええやん。みんなでがんばってコンサートに向けてリハしてますーって感じで。」





「それは、そうだけど・・・
あーっ!」


「どうした?」

「うん・・・なんかさ、心なしか左端のひとだけ・・・」

「えっ?あ、ほんとだ!
なんかひとりだけ普段よりかわいくうつってね?」

「うっそ!マジ?!
あ、ほんとだしー。ひっでーっ!」

「絶対これ、マッスーにだけピント合わせたよね?」




「そんな別に、なにもしとらんわ。
ただ・・・」




「ただ・・・なんですか?」




「うん・・・っと、
カメラマンがよかっただけ。
・・・な?」


「うん。そう・・・ただ、
カメラマンを見つめただけだよ///」






「・・・」

「あ・・・はいはい・・・
そういうことね、はいはい。」

「あーあ・・・今回のツアーも先が思いやられるわ。」

「うん・・・1月まで、長いけど、
なんとか最後までまた生き延びような・・・」

「うん、頑張ろう・・・」







ほんま、おまえらうるさいな・・・



でも、ま、よかったわ。

ほんとはこう言いたかったんやけど、ギリギリのところでがまんしといて・・・



「ただ・・・
もともとこいつが一番かわいいんやから、
しゃーないやん?」











20081016

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