short stories

□be my SantaClause
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be my SantaClause








クリスマスイブ…



窓から見えるあのビルのイルミネーションの輝きも
なんだか今日は違って見える…

…のは、
その窓に大きなトナカイの着ぐるみ着て、
しかもエプロンした誰かさんが映っているからだ。



「はぁ…」



男24歳といったら花盛りだよ…

普通の24歳だったらさ、
今頃、一生懸命働いたお金で買ったプレゼントを
ピーコートのポケットに忍ばせて、
あのイルミネーションの下で待っている大好きな子に会うために、
クリスマスイブの人混みを縫うようにウキウキ走ってるもんじゃないの?




ま、しょうがない…

仕事だもんね。


自分がどうしてもと思って、
やっとなれた保育士という仕事…

どの保育園にとっても、クリスマスは大行事だ。


だいたい園長先生がサンタ役。
他の女の先生は羊になったり、天使になったり…

そして唯一の男の保育士であるボクは…
ま、当然「トナカイ」だよね、うん。

ふとっちょのサンタさんがのった
そりの台車をひっぱりながら
園児にプレゼントを配ったよね、うん。


それで家庭のある園長先生や、恋人のいる女の先生は
「今日だけはごめんね」と早く帰ってしまい、
遅番として残されるのも、
ま、その「トナカイ」の役目なんだよね、うん。



どうせボクには今日何の予定もないですから、
いいですけどねー…



「はぁ…」



さーって…
あとお迎えがまだなのは…


えっと…


…りゅうくんか…












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