short stories
□チラリズム
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「錦戸くんも、もちろん・・・・
好きなひと・・・いますよね?」
「うん、おるよ」
ズキッ。
ああ、イタッ。
なんで、こんなこと聞くはめになっちゃったんだ?
なんか、誰かに彼女ができたって話がでて、
順にメンバーの恋人の話になって・・・
残りは話をしてるボクたちのことになっちゃったんだよなー。
それで・・・まあ、ここで聞かないのも、
かえってなんか変なような雰囲気になって、
仕方なく聞いちゃったというわけ・・・
「・・・ま、まあ、当然ですよね」
「まあな・・・」
あーあ・・・やっぱりね。
もう「次」ができたんだ。
はやっ。
それはいいとして・・・よくないけど・・・
どうしよ、聞かれちゃうよな、「おまえは?」って・・・
なんて答えよう・・・えっと・・・
<いません>なんて、取材じゃあるまいし
<います>って言って、<誰?>とかいわれたら・・・どうしよ。
<ファンのみんなです>なんていったら、殴られそうだし・・・
<あなたです>
・・・うっわ・・・無理・・・ありえねー・・・
「誰か聞かんの?」
「え?」
「俺の好きなやつ、誰か聞かんの?」
「・・・あ・・・?」
・・・知らないからとはいえ・・・
このひと時々、ぶっ飛ばしたくなるんだけど・・・
いやだよ・・・
好きなひとの好きな人の名前なんて聞きたくない・・・
どうせまたすぐに誰かの噂とか
インターネットとか雑誌とかで知らされることになるとは思うけど
本人から直接なんて、絶対嫌だ・・・
でも・・・はぁ・・・この流れは、聞かないといけないってことだろ?
あ・・・もしかして、言いたいってこと?
そうですか、そうですか・・・
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