short stories
□pinky
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pinky 1
メールがあったのは
もう深夜に近い時間だった。
仕事を終え、車を家へ向かう道に走らせていた時に
バッグの中の携帯が震えた気がした。
いつもなら運転中は目的地に着くまでそのままにしているのに、
・・・・気になって、信号待ちの間に確かめてしまった。
え・・・
その名前が受信メールの欄に表示されるのは何ヶ月ぶりだろう。
マジ・・・で・・・?
もう終わったと思っていた。
いつ終わってもいいと思っていた。
っていうか、
早く終わらせたいと思っていた。
その名前がもう二度とここに表示されないなら
それでもよいと本当に思っていた。
だってそれは、
彼がやっぱりまっとうな幸せを選んだということだから・・・
「でっかい家に、でっかい犬に、きれいな嫁さん」
ずっと唱え続けていたその夢を
予定の年齢からは若干遅れてしまったとはいえ
数年前に彼はしっかりと実現していた。
それなのに・・・
どういうわけかボクたちは
まだ時々こうして
ふたりきりで誰にも言えない時間を過ごす
ということを続けていた。
to be continued