OPERATION LOVE

□OPERATION LOVE*10
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―錦戸さん・・・もしかしてあの子・・・いなくなっちゃったんですか?
 ・・・どうして?・・・ケンカでもしたの?



―いえ・・・ただ・・・突然うちのおかんが来てしもうて・・・




―まあ、大阪のお母様がいらしてるんですか?
 あの子、きちんとご挨拶できるかしら?



―・・・いや・・・それが、その・・・






―あ・・・やっぱり、私たちもご挨拶に伺ったほうがいいんじゃありません?


―え・・・?





―この前、貴久に、
 『大阪にはご挨拶に行かなくていいの?』
 って聞いたんだけど、あの子、
 『ボクたちも秋までは忙しいし、あちらもいろいろ忙しいみたいだから・・・
 ボクたちのことはもうよくわかってくれてるから平気・・・』
 とかいって・・・



―・・・え・・・そんなこと・・・?






―錦戸さん?・・・どうかしました?



―・・・いえ、すみません・・・
 他、あたってみます・・・





―そ、そう・・・?
 もし、あの子から連絡が来たら、すぐにそちらに帰るようにいいますけど・・・



―・・・お願いします。






―・・・あの・・・錦戸さん?
 大丈夫・・・なのよね・・・?



―・・・はい・・・





―そう・・・
 大阪のお母様に、どうぞよろしくお伝えくださいね・・・



―・・・はい。
 ご心配かけて、申し訳ありません・・・











「平気」・・・




あいつが「平気」というときはいつも
ちっとも「平気」やない時なんや・・・





そんなことくらい、もうよくわかっていたのに、

俺は忙しいのを言い訳にして
あいつの笑顔とぬくもりに甘えていた。






もう、あいつには帰る場所も、甘えられる家族も
無くなってしまっていたんだ・・・




でもかわりにすぐ
あいつに新しい家族や新しいふるさとを
贈ることができたかもしれないのに・・・

あいつはそれを待っていたかもしれないのに・・・




俺の様子見て、
自分からはなにも言えずにいたんやな・・・








<世界中を敵にしても君を守る・・・>
なんていうといて・・・

自分が・・・一番傷つけて、どうすんねん・・・





よく「できることは全部精一杯やっとる」なんて言えたわ。

大事なこと・・・後回しにして・・・







・・・ごめんな・・・








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