初恋サイダー
□キスをあげるよ@
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2月。
結成日の前月に少し久しぶりの全員揃ってのベリ会
個々で会うことはあっても全員が揃うのはなかなか難しい
一人いないと思えば次はまた別の誰かがいなくて。
改めて10年も毎日のように会えていたのは貴重だったと思わされる
そんな中、桃子は全参加だった。
そういうところ律儀だなとおもう。
まあ自分もそうなんだけど
思い出話や情報交換したり近況を話したり…話は恋愛に移りだれかが雅に今付き合ってる人はいないのという
一瞬話すのをやめておくか躊躇ったけれどすでにみんなの目は期待に満ちてこちらに注目していた
「付き合ってはないけどいい感じな人はいる」
この話はさきちゃんにしかまだ話していない
「えー!どんなどんな?顔とかないの?」
ちなみが騒ぎ立て写真を出せとねだる
「あー…えっと。女の子、なんだけどね?」
ちなみは一瞬はて?とキョトンとした顔をしていたがすぐに理解したらしくいいから見せろとさらにせき立てた
それがやけにちなみらしくて笑いながらフォルダを探す
ほかのメンバーも多分驚いていたけど、今時ねとか性別なんてとか口々に受け入れてくれたような声をかけてきた。
事情を知ってるしみちゃんだけが静かに微笑んで見守ってくれている
「あった、こんな感じの」
みんなが一斉に雅のスマホを覗き込む
「あー…これはなんていうか…みやのいつも選ぶ顔って感じ」
今までも見せてきた写真からみやは好みが分かりやすいと言われていた
色白で唇は薄く、黒目がはっきり映えていておとなしそうな顔立ち
「女の子でも好みは変わらないんだね」
「自分では自覚ないんだけど」
そう言いながら改めて写真の顔を見つめるがやっぱりわからない
しばらく考え込んでたちなみがパッと顔をあげわかった!と声を出す
「ももに似てるんだよ!毎回既視感があると思ってたのそれだ!はぁ〜スッキリした」
これでみやとももの空気がどうなるかなんて考えずちなみが早口で語る
ももの顔を見るのがこわい
そんなわけないでしょと軽く一言言えばいいだけ
そのあとももが笑って冗談でも言ってくれればなんともないこと
「んなわけないじゃん」
笑いながら言うつもりが笑い声は嘘っぽく、セリフもうわずってしまった
ちなみの奥にじっとこちらを見るももがいた
思わず目を逸らしてしまう
どうして笑ってもくれないの。
そんなに不快?嫌?
ももが真顔で見ている時は言いたいことがあるか、考え事をしている時
それを知りたくなくてそれからはももの顔を見ないようにした