初恋サイダー

□言葉より効き目あるでしょB
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思い返せば今までの恋人たち、見かけだけで気に入っていざ付き合ってみるとあの人とは違う言動や行動にどうしても違和感が生まれてしまいそういうののチリ積もりで別れてきた



最初こそ諦めるために恋人を探していたが、開き直ってからは完全に変わりを探している自分がいる




大体のことは正反対だけどすごく大切なポイントだけ気の合うふたり



昔からお互い意識し合っていて意見も強い二人はよくぶつかっていた




幼い頃の突っかかる癖が抜けなくて先に精神的に成長して丸くなった桃子に対していつまでもぶつかろうとしてしまう



それが甘えだってこともわかるし
丸くなりすぎるのもなんだかさみしくて



今さら可愛く甘えたり優しくしたりできないよ



そんなことを考えながら目を瞑っていたら夢にももがでてきた


会わない日が多くなってから途端に夢にもよく出てくるようになった


記憶の整理ってやつなのだろうか



夢の中の私たちは今よりもちょっと若くて、幼い




「もも」



夢の中ではいつも素直な自分




ぼーっと違うところを見ているももの腕を引いてこちらを向かせる




頭上にハテナを浮かべて見つめてくるももが可愛くってぎゅうっと抱きしめる




「好き」




夢では思ったらすぐ伝えられる




「知ってる」


「どして知ってるの?」



「分かるよ、みーやんの顔見てたら」



ほら、夢のももはちゃんと分かってくれてるの

現実のあいつは何にも知らないけど




「うれしい」




抱きしめる腕に力を込めるとももがわらってるのが伝わる




ああ現実がこうならいいのに




素直になれたらいいのに、こうやって抱きしめられたらいいのに、いっそ想いが伝わってしまえばいいのに




胸の奥のちいさなつぼみが疼く




目が覚めてしばらくベッドの中でぼーっと夢を反芻する




あーあ、幸せだったな




ケータイのももとのメッセージをひらく




今日ももが夢に出てきたよ



送信。




しばらくして

どんな?と返事が来たけど既読だけして教えてやんない




携帯を放って仰向けに寝転がる




いつも夢に出てくる時はこうして報告だけして内容は教えない。これで少しくらい気になって、気にしてくれればいいのに


子供っぽい駆け引きだな




でももうすぐで、久しぶりに会える




二人きりじゃないけど、会えるのが嬉しくて近くに座りたいなとか、帰り一緒の方面に乗って帰ろうとか




そんな純粋な気持ちに自分で笑えた
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