初恋サイダー

□早くなるドキドキD/表最終章
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…_





ももの行く方向さぐって後ろ姿ばっか見つめて…なんか私らしくないなぁ…


みやはもっとこう…


らしくしてもいいよね



「もも、一緒に帰ろう」


桃子がびっくりしたような明らかに予想外って顔したけどそのあとすぐ大人しく腕を組むスペースをとってくれたのがうれしい



みんなそれぞれの帰り道に散っていく



「ここから乗ると混むから一駅歩こうよ」



「いいね」






ももはお散歩好きだからぜったい乗ってくるとおもっての提案だ



「で…ももの近況は?」



「いや、わたしはいいよ別に」



「なんで?聞きたいんだけど」



「まあ…元気にやってるよ。仕事も楽しいし」


「恋人は?いないの」


「みやは、いるんだもんね。わたしに似た彼女が」


「女の子もいけたんだ」



黙っているとあの席で誰も言わなかった質問を投げかけられる



「ももじゃなかったら誰でもよかったから」




相当鈍感じゃなかったらこいつは…ももは多分わたしの気持ち知ってる
そして、ももも自分のことを好きなはず、なんとなくそう感じてきた勘を信じたい



ももじゃなきゃだめなんて言えたらよかったけど私精一杯の告白



「…酔ってる?」


「酔ってないけど」


「えっと、じゃあなんかの冗談?」


え、お酒の力を借りてるのは確かだけどここまで言ってまだ分かってないの?


いや、ここに来るまでも散々好きな気持ちは見せてだつもりなんだけど。 


なにこれ

じゃあ今までの距離を詰めるたび引かれてた境界線はなんだったの


「え…泣いてるの?」


わけわかんなくって涙が出てきた


桃子の引いた境界線の中で必死に走り回ってるみたい


「ももは…は最初っから決まってる勝負に手出したくないから」


「なにそれ」


「だから、いつか別れるようなものなら最初から始めたくないの」


「みやの気持ちわかってたの?」


「確信は持てなかったけど。そうなのかなっておもったりはした…」


「いつかは終わるとか決めつけて全然わかってないじゃん」


自分の心を決めつけてくる桃子にイライラして涙がどんどん溢れる



「ももだって分かんないよもう…」


この道を辞めてから一人称が私になってたももの一人称がももに変わったのが懐かしくて、まだ近くにいたあの頃みたいで。

やけに耳について離れない





「じゃあ分からせてあげる」


顎まで垂れていた涙を拭いて桃子の胸ぐらを引き寄せてキスをした


桃子が肩を引いて離れようとするけど今回だけは絶対逃さない


息が苦しくなる頃やっと自由にすると桃子が肩を上下させて見つめてくる



そよ瞳に見つめられると胸が痛い



「これで分かった?」


返事がないから勝手に喋り続けるしかない


「変な駆け引きとか、境界線とか、もういやなの。そういうの全部飛び越えたいの、みやは。」




「間違いじゃなければもももみやと同じ気持ちなのかなって思ってるよ。ももの気持ち聞かせて?」


ここまで一気に伝えると今度はももからキスをされた


自分とは違って優しい一瞬のキス



「鈍感」


「え…いや、鈍感なのはどっち」


頭がごちゃごちゃになっているともう一度キスされる


「どう考えてもみやの方でしょ」


そう言うと桃子から手を絡めてきてまたゆっくり歩き出す

冷たい夜風がタコみたいに真っ赤な耳を冷やしてくれる


今さら付き合おうとか好きとか、なんだかむず痒くってお互い口にしないけど
これでやっと気持ちの確認ができた…のかな


だって絡めた指先はいつもよりきつく離れないように繋がれている
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