□スーパースターはどこへいった?
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初めて彼を見たのは、古ぼけたテレビのブラウン管の中だった。
野球に全然興味のなかった私が、ふとチャンネルを止めた先に映っていたのが、打席にたっていた彼、
本田茂治だった。

「本田、打った〜!!これは大きい!超特大ホームランだァ――!!!」

ギブソンから打った!!
そう、興奮したアナウンサーが叫ぶ。
興奮していたのは、アナウンサーだけではなかった。日本中が、もちろん私も含めて、胸を踊らせていた。
それから私は、一気に野球の魅力に取りつかれていった。本を読み、ボールを投げ、リトルのチームにも入った。
だけどスーパースターは、初めて見たあの日を最期にこの世を去った。

「あのピッチャー、本田茂治に似てる…」

グラウンド上では、聖秀と海堂の白熱した試合が行なわれている。
ピッチャーの名前は、「茂野」。なんだ、全然違うじゃないか。
だって、本田茂治はもっと優しそうな顔してたもの。あんなふてぶてしくなかったわ。
でも、なぜだろう?
涙がとまらない。

「がんばれ。」

もうすぐ、スーパースターがこの世を去ってから13度目の夏がくる。



スーパースター
はどこへいった?

あなたのプレーを、もっと見てみたかった。


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