アスカガ短編小説

□スベテハキミノタメニ
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ピッピッー…ピッピッー…

呼び出し音が部屋に響くと、カガリは待ってましたとばかりに回線を繋ぐ。

「…キラかっ?」

繋いだと同時に声を掛けると、画面に映る人物が少し驚いたように目をぱちくりとさせている。
しかしそれも一瞬のことで、すぐに微笑み返してくれた。

「うん。久しぶりだね、カガリ。元気だった?」

「私はご覧の通りさ!そっちこそどうなんだ?まだプラントでの生活に慣れてないんじゃないか?」

「んー…。確かにプラントの生活に慣れるにはもう少し時間がいるけど、一応充実した毎日は送ってるよ」

「そうか。それなら安心した。」


久しぶりの兄妹による通信回線。
もちろん公的には一国の代表首長と他国の隊長クラスの軍人であるため、かなりセキュリティの高いものとなっているが内容はいたって和やかなものだ。
以前は離れて暮らしていても時間さえ合えば何とか会える距離だったのが、今ではそれすら難しい距離で互いに生活をしている。
世界でたった1人の、かけがえのない血の繋がった兄妹。
互いの夢の為とはいえやはり寂しいものはある。
そのため、極一部の上層部に頼んで定期的に通信を開く許可をもらったのだ。
いくらカガリが代表首長だと言っても、他国の軍人と政府に非公開で通信することは国の重要機密事項に関わるとして、カガリの一任だけでは承諾されない。
それはカガリも承知の上だったのだが、相手が元オーブ軍の一佐であり何よりカガリの肉親ということで、何とか許可を得たのである。
…ちなみにキラの方に関しては、ピンクの元歌姫様が手回ししたことは言うまでもない。。
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