アスカガ短編小説
□ぬくもり
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「アースラーン、いい加減起きないと遅刻するぞ〜」
ビーっと訪問を示すアラームを何度も押しても反応がないアスランに、カガリは多少イライラしていた。
・・・せっかくキラと一緒にMSの整備や基本トレーニングを受ける約束をしたのに。
それを昨日からずっと自分は楽しみにしていたのに。
大体ザフトのエースって呼ばれていた奴が寝坊なんかしていいのかよ!
ぷっと頬を膨らませると、これが最後のチャンスだと言わんばかりに強くボタンを押す。
・・・が、やっぱりアスランの反応はなかった。
「もういい!勝手に入ってやるからな!!」
いつもなら気を使って人が出てくるまで部屋には入ろうとはしなかったけど、今回は違う。
アスランが悪い。アスランが悪いんだ。
自分はそんな悪い奴をただ起こしてやるだけ。
文句があるならアスラン自身に言え!
誰もカガリに文句等言っていないにも関らず、一人ぐるぐる今後の展開を予想していると、いつの間にかもう部屋に入ってきていた。
一瞬びくついたカガリだが、すぐに暗い部屋の中で気持ちよさそうに寝息を立てている者が目に取れる。
そろりそろりと近付いてみると、その顔がだんだんはっきりと見えてきた。
いつもはあんな怖い顔をして怒ってくるのに・・・・。
まるであの顔が嘘のように、今は子供のように安らかな顔をして眠っている。
そしてこんなにも寝顔が綺麗な人は他にいないんじゃないかと・・・そんな気がした。