アスカガ短編小説

□Heven or Hell??
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「アスラン!アスラン!なぁ・・・いいだろ?」
「だーめーだ」




・・・・もうこのやりとりを何回繰り返したのだろうか。
たかが飴1つを巡って、既に1時間は経とうとしている。
パソコンで仕事を片付けているアスランの周りを、カガリは駄々をこねるように、ぴょんぴょんと跳ね回っていた。




「で、でも飴の1つぐらい平気じゃないか!」
「・・・・普通ならな。
 ただ、お前は今医者から止められているだろう?虫歯になりかけている歯があるって」




そうなのだ。
先日の定期検診の際に、健康が何よりの自慢とされるカガリに、要注意とみなされた歯が見つかった。
カガリからしてみれば、要注意で済んだだけでホッとするとこでも、アスランやマーナを始めとする"保護者組"からしてみれば、一大事。
カガリは渋々治療と平行して、甘い物等は控えることを医者と約束させられたのだった。
・・・・・・が。
元来甘いもの好きのカガリにとっては、辛いもの以外の何者でもない。
あれから1週間、何度も挫けそうになったものの、その度にアスランがなだめ、励ましていた。
しかしそれも限界に来たのか、今までカガリが所有していたお菓子をアスランが管理してると分かった途端、これである。




「大体、オーブの国家元首である君が、そんなことぐらいでワガママ言ってたら、先が思いやられるばかりだぞ」
「そ、それとこれとじゃ話が違う!」
「違わないさ。君という存在がオーブそのものなんだ、分かるだろ?」




本当は飴の1つぐらいあげたいさ、君のためなら。
そんな本心を隠しつつ、あえて厳しい口調でカガリを説得する。
カガリのため・・・・それはここで甘やかさないこと。
ならば、どんなにカガリのご機嫌が損なわれようと、ここは貫き通すのが自分の役目というものだ。



「でもっ・・・・・!」
「何度言っても、だーめーだ」



俺の気持ちも分かってくれ・・・・、そう言い掛けた時だった。
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