アスカガ学パロ小説
□補習
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「やっぱりさ、夏は海だと思うんだよ」
「うん」
「体いっぱい日差しを浴びてさ、皆でビーチバレーとかで対決してさ」
「うん」
「で、みんなでカキ氷とか焼きとうもろこしとか食べて…」
「うん」
「じゃあ今から皆誘って海岸に…!」
「補習が終わったらな」
……ぴた。
カガリが言い終わらない内にアスランが決定打を打つと、カガリは力無く机の上に崩れた。
どんなにカガリが誘っても、この男はこの場を離れようとしない。
いつもなら「カガリが行きたい所ならどこでもいいよ」って、あんなに優しい顔して言ってくるくせに。
むしろアスランの方がどこかへ連れ出してくれてたのに。
しかし勉強となると話は別。
今更ではあるが、アスランは勉強に対して一切の妥協は見せない。
それはカガリも分かっていることだ。
が、ただでさえ面倒くさい補習の後に、アスランの家か図書館等でその復習をさせられることは、カガリにとって耐え難いものだった。
アスランと一緒にいられるのは嬉しい……けど、これじゃ1人の方がよっぽどマシだ。
そう思って逃げようとしても、すぐに捕まって勉強机に戻される。
こんなことを夏休みに入ってから幾度と無く繰り返していた。
「なぁなぁ、たまにはこうぱぁっと遊ばないとさー!お前だって一日家ん中じゃ飽きるだろ?遊んで少し疲れた方が勉強も進むし。」
「いや、俺はいたって平気だが?むしろわざわざあんな暑い所には行きたくない」
「お、お前そういうの怠け者って言うんだぞ!」
「勉強を怠けて赤点を連発したのは誰だ?」
「うっ……」
…やっぱりどう言っても言い返せない。
そしてやっぱりアスランは手厳しい。
顔色1つ変えずにずばっと言い返してくるこいつが、たまに憎らしく見える。
その上勉強しろという割には、基本的なこと以外教えてはくれない。
……スパルタ教育もここまでくるとあっぱれだ。
「…あぁもう!こんなの理解しようとする方が無茶というものだ!」
「だからこれは公式を使えと、さっきから言ってるだろ?ほら、もう一回。」
「もう一回やったって同じだ!いい、今日はこれで終わりにする」
ついに我慢の限界がきたのか、ぱたんっと教科書を閉じるとカガリはそのままベッドに倒れこんだ。
そんなカガリにため息を漏らすも、アスランは尚カガリを説得にかかる。
・・・しかしカガリは完全に無反応。
ぶすっとすねると、アスランとは逆方向にごろん、と寝返りをうった。
途端、ぷつん、とカガリに嫌な音が聞こえる。
「カガリが我慢の限界って言うんだったら、俺にだって考えはあるぞ」
「………へ?」
何かを感じたのか、ぱっとカガリが振り返るとそこにはもうアスランの姿はなかった。
・・・いや、見えなかったのだ。
気がつけば自分の体にアスランが覆いかぶさろうとしている。
「ちょちょちょちょちょ、ちょっと待てお前!アスラン!」
「嫌だ」
一気に硬くなった体を一生懸命じたばたして逃げようとするも、さすがに男の力には敵わない。
しかしそうこうする内にアスランの唇はカガリの首筋に触れようとしていた。
「い、嫌だじゃない!お前何しようとしてるのか分かってるのか?!」
「じゃあカガリは分かるのか?」
「………そっ、それは…!」
にやっと意地悪くアスランとは対照的に、更に体を硬めて真っ赤になるカガリ。
それを見てまたアスランは楽しそうに笑った。
この鬼畜腹黒めー!
そう叫んでやりたくても、あまりの恥ずかしさに声も出ない。
が、アスランの行為は止まりそうもなかった。
そして追い討ちを掛けるように、今度は耳元でそっと囁く。
「遊ばないと勉強が進まないんだよな?…じゃあ今日は目一杯疲れさせてやるよ」
「!!」
カガリの声にならない叫びが辺りに木霊した。