穴蔵の宝物庫

□焦れる想い
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大人しくなったオレを解放するものの、やはり信用されていないのか二の腕を掴まれたまま園内に入ることになってしまった。
「布施、お腹空いてない?」
何だかんだと人間怒ってばかりいるのはエネルギーがいるもので、しかも朝食をロクに口にしていなかったオレは、問われて空腹だったことに気づく。
「…ちょっと」
つーかいい加減腕を解放しろ。
不満気に高階を見たところできっと解放してはもらえないのだろうが、小さくても自己主張は大切だ。
「よしッあっちに屋台あるし、何か買って食べるとしましょうか♪」
…オレは解放されるどころかより強く掴まれ、“あっちの屋台”に連行されてしまった。





「屋外でランチするのって、キモチイイよねぇ♪」
この青空に、鬱陶しいくらいよく似合う笑顔で高階は食事している。
この炎天下、当然のごとくオレたちは木陰を選んで芝生の上に座り、高階が勢いに任せて買った屋台の食べ物を食べていた。
「思ったよりウマイじゃん」
満足気な表情で焼きそばを頬張る高階についつい
「外だからだろ」
冷たい態度を取ってしまう。
「…そっか、布施とデート中だしね♪ん?って!?あ、あれ?布施!?」
ー…布施センセーとデートと、布施とデートじゃ、言葉の重みが全然違うんだよッこのバカ!!
内心では毒付いているものの、高階の慌てぶりからするとたぶん今のオレは……真っ赤だ。…マジで凹む。
「あッ暑いからかき氷買ってくるッ!!!!」
「うわっ!?」
オタオタしている高階をなぎ倒すように立ち上がると、オレはかき氷を売っている屋台へ走って逃げた。
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