穴蔵の宝物庫

□ある日の朝
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「…何か欲しいもんあるか?」
「冷たい飲み物…」
実は喉が渇いていたらしい正宗の答えは早かった。そんな正宗の反応に則宗は部屋を出ようとして、ふと立ち止まる。
「すぐ持ってくるからな!絶対そこで大人しく寝てろよっ!?」
「…則宗、お前学校…」
甲斐甲斐しく(?)自分の世話を焼こうとする則宗。だがしかし、今日は平日なのだ。当然学校は平常通りある。
「飲み物を用意してやる時間くらい、余裕であるに決まってんだろ」
余裕かどうかはともかく、そう言い残すとさっさと部屋を後にしてしまった。
周囲には誤解されがちな弟だがそれなりに頼もしい則宗の姿を見送ると、正宗は無造作に掛けられた布団を綺麗に直し、再びそこへ潜り込み横になる。
「あの則宗が大人しくしていろと言うんだからな…」
発熱を理由にたまにはあの生意気な弟を振り回すのもいいかもしれないな…と、正宗は口元を弛ませながら則宗が戻るのを待つのだった。
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