穴蔵の宝物庫

□焦れる想い
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「何だここは…ッ!?」
「へ?何って、公園?」






とあるカラリと晴れた休日、ゆっくり過ごすつもりだったオレを昼前に訪ねて来たのは誰でもない、高階トウヤ。





そして布施の眼下に広がるのは、きれいに整備された公園だった。
「そんなモン見ればわかる!何で公園なんだッ」
駆け回る子供に振り回される父親、ベビーカーを押しながら赤ちゃんに話し掛ける母親。そして、
「ん〜?デートと言えば公園、てベタなことをしてみたかったから?」
手を繋いで歩くカップル……。
「フザケンなッ!!!!!!」
高階を頭上から怒鳴りつける。
「うわうわっ!耳元で怒鳴るのヤメてくださいよ」
耳を押さえて首をすくめる高階が目に入ったが、そんなコトどうでもいい。
「帰る!」
クルリと踵を返しその場から立ち去ろうとしたオレを、高階はあろうことか背後から抱きついて引き止めやがった。
「待って待って!帰っちゃダメなんだってッ!ね?」
おちゃらけた口調の高階にムカついて勢いのまま振り返ると、普段は絶対見せることのない表情を浮かべていて、オレはたじろいだ。
「…はなッ離せッ!」
たぶん、自分にしか見せない…獲物を、オレを捕らえた時にだけ見せる意地悪な瞳と満足気な笑み。
そんな表情に高階の本性が垣間見えてしまうようで、だからオレは高階が怖い…。
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