運命アクセプト
□act.31〜
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ーact.31ー
「助かったのか…………?俺たち…………」
静かなブリッジにその声だけが響いた。
全員がぐったりとシートにへたりこんでいる。
アークエンジェルは、クレーターから少し離れた海岸に突っ込むように着底していた。
クルー達は艦を降り、海岸に出る。
脇に着陸したスカイグラスパーからはフラガも。
例の2機も程近い所に降り立ち、少年は傍らのジンからパイロットを運び出していた。
しかし、間もなく息を引き取ったのか、悔しそうに地面を打つ。
そのあと、こちらに歩いてくる少年が、ザフトの赤いパイロットスーツを身に付けているのを見て、クルー達は戸惑った。
しかし、静かに笑みを浮かべているのは間違いなくキラ・ヤマト。
「マリューさん………。
間に合って、よかったです…………」
「本当に………キラ君、なの……………?」
「はい。」
最後に見てからそれほど長い期間が経ったわけでもないのに、そのキラの笑みは大人びていた。
「キラぁぁっ………!」
一番始めに飛び出したミリアリアを筆頭に、次々とクルーがキラを取り囲む。
その中で、サイとカズイだけが1歩引いた所で、気まずそうに立っていた。
「サイ……………カズイ………」
「よく生きてた…………おまえっ………」
サイの瞳にうっすら涙が滲んで、俯いた。
「うん……………ごめん、ありがと……………」
そしてキラは機体を見上げるフラガに近付く。
マリューもそれに並んで見上げた。
「お話ししなくちゃならないことが、たくさんありますね。」
「ええ………」
どうやって助かったのか、今まで何処にいたのか、その機体はどこから……………?
「僕も、お訊きしたいことがたくさんあります。」
「………………そうでしょうね。」
「でも………その前に、呼んでもいいですか?」
誰か、と訪ねようとして、キラだけが降りていることを思い出す。
今はフェイズシフトが落ちてグレーに変わったその機体のコクピットが開き、降りて来たのは同じく赤を纏った誰か。
バイザーの反射で顔は見えないが、そのシルエットから女性であることがわかる。
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