□拍手ログ
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「近藤さんの枕は親父の匂い〜」


「こらっ!誰です!そんな世界一悲しい歌を歌うのは!」


平和な朝。
鳥が鳴く声で目が覚めた近藤の耳に届いた歌。
思わず勢いよく襖を開く。

と、土方の姿。
こちらに気付き悲しい程白々しく口笛をふきだした。

「まさか・・・まさか今の歌トシがッ!?酷い・・・!」


「ちっ違ェよ!濡れ衣も甚だしい・・・!」


とは言うものの見回せど誰も居ない。
まさか、まさか副長が局長の気にしている事を大声で歌うなんて・・・!


「もうトシなんて嫌いだ。親父が居るから世界は成り立っていると言うのに」


「だから違うっつってんだろあと頼むから嫌いとか言わないで下さいおちるんで。」


「じゃあその後ろに隠してるのは何?」


明らかに後ろに何か隠している土方。両手が後ろにある。


「いやー・・・これは・・・」


「なんだよ見せろよー」


「ちょ、ばっ、やーめーろーやー」


「いいじゃねえか見せろ・・」


「やめろっつってんだろゴルアアアアア!!」


まーたーまーちーがーえーたー(ホギャーン)
我に返る土方。最近力の加減が出来ない二十代。

庭の池に突っ込みありえないポーズになっている三十路間近の局長。


「おい、どうやったらそんななんとか家の一族的なポーズになるんだ」

「ミラクルだ。俺に不可能はない。」

ざばり、と池から這い上がる近藤。

「格好いいな近藤さん。さすがは俺たちの大将だ。」

「ああ。つーかトシ今俺の事殴ったよね?どういう事?」

「つーかつっこむのも嫌だったんだが近藤さん、おんぶお化けがいますよ。」


池から這い上がった近藤の背中に張り付く沖田の顔。


「なっ何!?お化け的なもの!?何!?」

可哀相なくらい慌てる近藤とにやりとする沖田。

「気にしないで下せェ。ただの背後霊でィ。」

「喋ったァァァァァァ!!」

「おっ落ち着け近藤さん!」

暴れる近藤を両手で制する土方。
と、ぽとり、と廊下に何かが落ちた。



「枕・・・・・?」



そう、枕。
土方が後ろに隠してたのは枕だった。


「俺は見てたぜィ。近藤さんの枕を盗む土方さんをねィ・・・ちなみにあの世界一悲しい歌を歌ってたのは俺ですけどねィ。」

「枕を・・?なんでだ?トシ・・・というか今総悟君、さらりと爆弾発言しなかった?」


真っ赤になり俯く土方。


「いや、その、あれだ。俺の枕が無くなったから借りただけだ。」

「そんなあからさまな嘘は「そうなのか!?」」

沖田の言葉を切り、目をぱちぱちさせる近藤。


「可哀相に・・・・誰が・・誰がトシの枕を盗んだんだ!?」


「「・・・・・・・」」


「トシ、犯人探しに出るぞ!」

「あ、ああ!畜生!誰だ!」




青春ドラマのように走り去る近藤と、それを追いかける土方。


・・・・・・・・・・・・




「なんでィこれ。可哀相なのどう考えても俺だろィ。」



おしまい。

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