お妙さんと局長話

□印
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そんな姿を暫く見詰め、諦めたように再び口を開く。

「やっぱりそうなの」


「何がですか!?」


不意打ちに声が裏返る。


「この逃げる物を追う野生の糞ゴリラが…」


「あれっ今ゴリラって言いませんでしたっ!?」


「私が近付いたら逃げるのよね何故なら野生の糞ゴリラだから」


「ゴリラは良いとしても女の子が糞なんて言っちゃ駄目で、す…」


おや、と腕を組み今お妙が呟いた言葉を頭の中で復唱する。



「……………」


「もういい」


ぷい、と後ろを向きすたすたと歩き出す後ろ姿。
その歩幅に合わせるように段々と近藤の口端が上がっていく。





「逃げませんよ!寧ろ受け止めますよ!」


叫びながら追い掛ける。


「何故なら俺は野生の糞ゴリラじゃなくて貴女の近藤勲だから!」


お妙に追い付く。


「いいえ、貴方は野生の糞ゴリラです。」


ちらりと見えた横顔が愛しくて堪らない。
好きで仕様がない。


何時も強くて
歳よりもしっかりしているように見えて
でも


「馬鹿みたい」



今日もパンチされた


多分明日もされるし
明後日もされるだろう



それでも
やっぱり


「馬鹿で糞ゴリラでも結構です」



貴女の傍に居られるならば。






おわり
20070619
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