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俺が好きなのは


近藤勲と言う男、で。


野良猫のような俺を拾ってくれた人。

金もねえのに野良侍達を引き取り、侍の誇りを蘇らせてくれた、でかい、人。



男を好き、と言うのは
世間一般的に聞けばおかしい。

男は女に恋するものだから。

現に近藤さんは今、女に恋しているし。
俺だって過去付き合った女は居た。



俺はアンタの子供も産めない





欲しくて堪らないのは俺のエゴ。
こうやって押し倒せば、優しいアンタは俺を受け入れる。
泣きそうな顔しながら、俺を抱く。

ごめん、って。何度も言いながら。


なあ、俺は全部アンタのモンだよ、って言ったら。
益々泣きそうな顔で




「そんな事言わんでくれ」



と返す。

可哀相なのは、俺?


抱かれると嬉しい。
幸せだし、
なにより近藤さんが好きだから。


でも悲しい。

嬉しいのに悲しい。


悲しいのは
一人だから。

近藤さんに抱かれる事は自慰に似て居る。



まるで孤独を確認するように
俺はアンタを求める。


欲しいのは

欲しいのは

悲しい顔では無いのに。


俺は全部アンタのモンだけど
アンタは違う。アンタは俺のモンじゃねえ。

それでもよかった。

でも今は



「トシはトシだ。誰のものでもないよ。」


引き裂かれそうな孤独。
俺は近藤さんの物にもなれないから。


存在を赦して。


俺をアンタの物にして。


無理だと理解っていても


魂が


俺の魂がアンタを求める。

呪いのように。






【何故求めるの、手に入らないとわかっているのに。】 
 

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