Graveyard Of Memory
□動き出せ
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強い風が吹き終わり、そっと目を開けると確かにそこには護衛対象がいた。
病的に白い肌。
薄く細い体。
無気力な紅い瞳に、肩に掛かるほどの銀の髪―…。
窓縁に座るその姿は光に透けてしまいそうな程。
思わず目を奪われてしまうくらい綺麗な、本当に綺麗な少年だった。
「…誰?」
聞こえた声は怯えも動揺もなく、ただ静かなもの。
無気力な紅い瞳はじっと此方を見つめている。
「あ…と、俺はMemory第5部所属の田野飛鳥。今日から君の護衛をする事になった。」
「そう。僕の事は悠生でいいよ、飛鳥。」
少年―…悠生は無表情のままそう呟くとそれきり黙りこんでしまった。
(会話…会話がっ…)
沈黙は苦手だが、話すべき会話があるわけでもない。不自然に天気の話でもするべきか。
しかし悠生は外を見たまま動かないし、どうしたら良いのか分からなくなってきた頃…