小さな子守唄
□イマイチ、捕まらない
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「……もう帰るの??」
あたしの寝そべっているシーツは乱れていて、さっきまで激しく抱き合っていた事が分かる。
そんな事はお構いなしに、あたしは目の前に居る人物に話しかける。
男のくせに、そこら辺の女とは比べ物にならないほど綺麗な男。
神田ユウ
そして、あたしが唯一気に入った男。
「…任務だ。お前も早く着替えろ。」
ユウは団服を着ながらそっけなく返事をする。
そして部屋から出て行ってしまった。
その後ろ姿を見つめながら、思わず呟く。
「またフラれちゃったか…。」
部屋が一気に静まり返る。
そう、あたしとユウは体だけの関係。
その間に愛なんて言葉はない。
ただ、お互いを性欲のために利用するだけ。
あたしは枕に顔を埋める。
微かに残る、ユウの香り。
ユウの温もりを感じながら、あたしは瞳を閉じた。
イマイチ、捕まらない
(恋愛は惚れたもん負け)
(そんなのわかってたハズなのに)
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