小説
□夕日と教室
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獄寺の髪には風が吹きついている。
そのたびに揺れる髪。
とても綺麗だった。
山本はそこから一歩も動かず、ただじっと獄寺を見ていた。
それに気づいたのか獄寺は後ろを向く。
「山本?」
振り向く獄寺に山本はドキッとなる。
振り向いた獄寺には夕日の色が移っている。
髪も揺れ動いている。
それに。
いつもはとても怖い顔しているのに今の獄寺の表情は穏やかだった。
こんな獄寺は初めて見る。
「どうした?」
獄寺に質問を受け山本ははっと我に返る。
「いや、ただノート忘れたから」
山本の答えに獄寺は笑った。
「だらしねぇ、本当に野球しか考えてねぇのか?野球バカ」
笑った顔も綺麗。
「あ、あーそうだな、ははっ」
山本は獄寺に質問する。
「獄寺こそ此処で何してんだ?ツナならとっくに帰ってるぜ」
獄寺は山本に質問を受け答える。
「急に・・・夕日が見たいって思ったから」
そう言いながら獄寺はまた空を見上げる。
「日本の夕日って綺麗だよな」
「ああ、そうだな」
山本は同意する。