長編小説1

□約束のひだまり〜先導〜
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今日もいつものように、6匹のブウサギを引きつれて散歩に出かけるガイ。

いい天気だ。

いつもより清々しく感じるのは気のせいだろうか?

昨日、態度はおかしかったとはいえ、心配していたルークが帰ってきたのた。

そりゃあ清々しくも感じるか、といつもより若干上機嫌で道を歩いていた。

ジェイド、サフィールが一番前を行き、あとにゲルダ、アスラン、ネフリーとブウサギ達は続いている。

ルークだけ、ガイが抱き抱えていた。

よっぽど昨日、ルークが帰ってきたのが嬉しいらしい。

鼻歌まで歌っていた。

ジェイドと別れ、ガイを探しに歩いていたルークは、そんなガイを発見し、少し退いてしまい、つい反射的に建物の影に隠れてしまった。


(ガ、ガイ…?)


どうやって声を掛けるべきか悩んでいたら、ガイがブウサギのルークを降ろした。

どうやら、ブウサギを自由に遊ばせるところに着いたらしい。

これなら声を掛けられる、とルークはガイの元へ行った。


「よっ!ガイ!」

「…!ルーク!ルークじゃないか!なんだ、こっちに来てたのかよ。昨日は何の挨拶もなしに行っちまうから、どうしたのかと思ってたとこだよ」


どうしたのかと思ってはいただろうが、思ってたところかどうかは怪しかったぞ、とルークは突っ込みたかっが、そこは笑顔でスルーした。


「あぁ、まぁ色々あってね…。今日はジェイドに話があったんだよ。で、ついでだしと思って、お前に会いにきたわけ」

「そうかそうか。いやあ、昨日は暗くてよく見えなかったけど、お前も成長したよなぁ、この2年間で。髪もまた伸びたし。お前ももう成人だもんなぁ。あ、でもまだ実質は10歳か」


もう完璧にルークの親になった気分であれやこれやと話しだすガイ。

ここまで親馬鹿ぶりを披露されると、昔の自分がどれだけ情けなかったのか思い知らされると同時に、さっきまで落ち込んでたのがアホらしい。

音機関のうんちく並に次々と語りだすガイに、ルークはただ苦笑いをして止まるのを待った。

それから十数分ガイの親馬鹿うんちくを聞かされたのち、ようやく本題に気が付いた。


「そういや、ジェイドに用事って何だったんだ?」


やっとかよ、という突っ込みはとりあえず飲み込んで、伝えられるだけのことをガイに伝えた。


「実は俺、アッシュの記憶も持ってるんだよね。お前が公爵家に来たときのことだってわかる。でも、人格はレプリカの俺の方で…。何でアッシュの記憶が俺にあって、アッシュが消えちまったのかをジェイドに聞きにきたんだよ」

「へー、そうなんだ……って!俺が公爵家に召し抱えられたときのこと分かんのか!?あああ…あのときのお前はまだレプリカのお前じゃなくてアッシュの方だからえらい無愛想で可愛げがなかったからずっと冷たくしてたんだよ。それも分かっちまうなんて…。すまねぇ!ルーク!俺はいつだってお前の味方だからな!」


ここまで真剣に言うということは、よっぽどアッシュは嫌いだったらしい。

記憶はあってもガイのその当時の気持ちまでは分からなかったので、必死なガイが色んな意味で面白かった。

けれど、裏を返せば本当に自分のことを信じ、尽くしてくれていたのだと分かる。


「大丈夫だよ、ガイ。お前が俺のこと、信じてくれたことはちゃんとわかってんだからさ」

「そ、そうか!ルーク!俺、お前の親友でよかったよ」


それは俺のセリフなのに、と思いつつ、抱きついてくるガイを宥めた。

何だかさっきから逆じゃねぇの?と思い、これでは唯一の常識人だと思ってたガイにティアとナタリアのことが相談できないじゃないかと悩んだ。

そう思ったときだった。

いきなりガイはがばっとルークから離れると、そう言えば、と言うように、肩をしっかり掴んだまま話だした。


「そういやぁ、お前、ティアとはどうなんだ?昨日の今日だし、まだ何も話せてないとは思うけど」


やっとか、とルークは一つため息を吐いた。


「あー…、そのことについてお前に相談したかったんだけど…」

「おー、そうかそうか。聞いてやるぞ。何たって、ルークの悩みだからな!」


キラリと歯を輝かせて右手の親指を立てて「任せとけ!」とでも言うように格好をつけてみせるが、さっきまでの情けない姿と、そんなガイの周りに集まっているブウサギを見たら、とても格好良くは見えなかった。



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