長編小説1
□約束のひだまり〜混迷〜
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ルークが還ってきてから一週間が過ぎた。
還ってきた次の日に、グランコクマで会って以来、会うこともなければ会いに行くこともなかった。
会いに行ってはいけない―…。
そんな気がしたから。
無論、ルークから会いにくることも無かった。
別に特別会いたいわけじゃない。
ただ、還ってきてからルークと会話らしい会話をしていない。
やっぱりルークは……。
少し気分は重かったが、今日はアニスの手伝いをしに行く日。
敏感なアニスに気付かれないよう、いつものようにしてダアトの教会へと向かった。
「あ、ティアさん。ご苦労さまですー。アニスなら、図書室にいますよ」
教会に入って真っ先に出会ったフローリアンに、そうアニスの居場所を告げられた。
珍しくフローリアンはアニスの母、パメラに呼ばれているから、と、それだけ告げると駆けていった。
フローリアンに告げられたとおり、図書室に行くと、確かにアニスはそこにいた。
ただし、本と書類の山に飲み込まれていたが…。
「ア…、アニスー?」
恐る恐るティアは本と書類の山に声をかけてみた。
「はわっ!ティア!」
目の前の書類の山ががさっと散ったと同時に、黄色いリボンで結われた黒いツインテールが姿を現した。
「わざわざ手伝いにきてくれてありがとぅ。ごめんねー、またこんなに溜めちゃって…」
何だか毎回同じような光景を見ているような気がする、とティアは思った。
「と、とりあえず、始めましょうか」
無駄話をしている暇はない。…この山の量を片付けねばならないのだから。
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