長編小説1

□還るべきひだまり(報告編)
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さっきまでいた栄光の大地から光の柱が昇った。

ローレライが解放されて音符帯へと昇ってゆくのだ。

エルドランドからアルビオールに向かう五人と一匹は、足を止めて各々、光の方を見つめた。

ローレライが解放されたということはつまり、ルークが自らを構成する第七音素を使ったということ。

ヴァンとの最終決戦でも第二超振動を使い、ただでさえ進んでいる音素乖離を更に進める形になった。

昇る光を見つめながら誰もが頭によぎった最悪の状況を消そうと必死だった。ルークが消えてしまったという最悪の状況を…。

ティアは、光を見つめながら、その光と共にルークが逝ってしまわないことを祈り、泣きそうになる自分を必死で制した。


「ティアさん…」


足元で小さなチーグルの仔が、瞳に涙をいっぱいに貯えてティアを見つめていた。


「ご主人様は消えちゃったですの…?」

「っ!?…大丈夫よ、ミュウ。きっと…いいえ、必ず帰ってくるわ。約束…してくれたもの」


ミュウの言葉に一瞬溢れそうになる自分の涙を飲み込んで、笑顔でティアは答えた。別れる前の「約束」を思い出して…。


「ティアさん、これ…」


と、ミュウが差し出してきたのは一冊のノートだった。

ティアは、表紙を覗き込んでみると、それは、ルークの日記帳だった。


「ミュウ…これ、どうしたの…?」

「ご主人様が…渡してくれたですの。せめて自分が此処に存在したっていう証に、ミュウに持っててくれって…」

「そう…。大切に…してあげなさい」


にっこりと微笑んで言ったつもりだが、その瞳には涙が溢れてくる。

これ以上涙が出てこないようにと、ティアが立ち上がって進もうとすると、ミュウが引き止めた。


「ティアさん!これはティアさんが持っていてほしいですの!」


突然のミュウの言葉にティアは一瞬戸惑った。


「で、でもミュウ。それはルークがあなたにってくれたんでしょう?」

「ミュウはいいですの。ご主人様にはいっぱい遊んでもらったし、いっぱい思い出をもらったですの!それに、これはティアさんが持っていた方がいいと思いますの」

「?どうしてそう思うの?」

「ご主人様がいなくなって一番悲しいのはティアさんですの。それに、ご主人様もほんとうはティアさんに持っていてほしいと思ってますの。ミュウはわかるですの。ご主人様の日記にはティアさんがいっぱい出てくるですの」

「私が…?」


どうして自分がルークの日記にたくさん出てくるのかティア自身にはさっぱりわからない。

しかし、せっかくのミュウの好意なので受け取ることにした。


「わかったわ。ありがとう、ミュウ」


今度こそ本当に微笑んで、ミュウからルークの日記を受け取った。

そして、それを大事に抱えると、他の者の待つアルビオールに向かった。


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