長編小説1

□約束のひだまり〜先導〜
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とりあえずルークは、自身の気持ちと、アッシュの気持ちや思いもあり、自分としてはアッシュのことを無かったことには出来ないという事をガイに伝えた。


「そうか…そいつは複雑だな。お前自身もナタリアは幼なじみだしなぁ。アッシュの気持ち云々が無くても、アッシュじゃなくてお前が帰ってきたってことに何かと思うところはあるだろうしな」

「まあな…。アッシュと俺が入れ替わって屋敷に戻ったときも、ナタリアは必死に記憶を取り戻そうとしてたしな。約束…思い出させようと…。その分アッシュの気持ちまでわかっちまったらなぁ…」


ルークは盛大なため息を吐いた。


「んー、まぁ、お前の気持ちもわからんではないが、結局はお前なんだ。お前にアッシュの代わりはつとまらんだろ?お前とアッシュは違うんだからさ。自分の気持ちに正直になるのが一番だと思うぜ。それに、お前のいない二年間のティア、見せてやりたかったほど落ち込んでたぜ」

「は?何でティアが落ち込むんだ?」


頭に大きなクエスチョンマークを浮かべて、ルークはガイの顔を見た。

ガイはルークから返ってきた意外な返事に驚いて、思わず口をあんぐりと開けてしまった。


「お前、未だに気付いてないんだ」

「何が」

「ティアもティアだけど、お前もお前だな」

「だから何が!」


意味のわからないことを言うガイに、必死になってルークは訊ねた。


「…俺の口から言うべきことではないと思うんだよなぁ。ま、自分の気持ちに正直になれってことさ」

「……何かガイもジェイドに似てきたな」


肝心なことを教えてくれないガイが、ついさっきまで話していたジェイドの態度そっくりで、ボソリとルークは呟いた。


「マジかよ!?それだけは勘弁だぜ〜」


(可愛い息子のような)ルークにさり気なく傷つく一言を言われてガイはションボリした。

ら、またまたそんな落ち込んだガイを慰めようとしてか、ブウサギ達がガイの周りに集まってきた。

今度はマダムキラーならぬブウサギキラーにでもなったのだろうか?

ガイとしては残念なのだろうのは、最も心配して近づいてきているブウサギが、ルークと名付けられたやつではなく、ジェイドと名付けられたやつなことだろうか。

そんなある意味微笑ましい光景を見て、ルークは思わず吹き出し、ガイに言った。


「お前、女に触れなくてもブウサギにもモテてるから心配ないんじゃねぇ?」

「ど、どういう意味だ!ルーク!」

「見たまんまの意味だよ。それじゃあ俺、そろそろ行くわ。相談にのってくれてありがとな。自分の気持ちに素直になってみるよ。じゃあな!お前はいつでも俺のマブダチだぜ!」


それだけ言うとルークは港に向かって駆け出した。

そんなルークの後ろ姿にガイは大きな声で見送った。


「気を付けてなー!俺もお前は一生のマブダチだぜー!」


ガイの声が届いたのか、ルークは前を向いて駆けながらガイに向かって手を振った。



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