長編小説1

□約束のひだまり〜困惑〜
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―そう思ったとき、フローリアンが一通の手紙を持って現われた。


「アニス〜。お仕事中ごめんね。これ、キムラスカから届いたよ」


手紙にはキムラスカの印が押してあった。


「誰からだろ?キムラスカってことはルークかナタリアかな?」


フローリアンから受け取った手紙を裏に返したりしながら差出人を探したが書いていない。

仕方がないので封を開けて中の手紙の内容を確認した瞬間、アニスの表情が凍った。


「アニス?何か重要なことだったの?」

「えっ!?あ、う、うん。そんなと…」

「ルーク様の正式婚約発表のお知らせだね〜」

「!?」


内容をはぐらかそうとしたアニスの傍らから、フローリアンが覗いて内容を口にしてしまった。


「こ、こらっ!フローリアン!!」


慌ててアニスは手紙を元の封筒に押し込んだ。

恐る恐るティアの顔を見たが、驚いたことにティアは微笑んでいた。


「ティ、ティア…?」

「そっか。よかったわ。ようやく正式婚約することになるのね」

「辛く…ないの…?」


上目遣いで遠慮がちにアニスは訊ねたが、ティアの表情が崩れることはない。


「どうして?嬉しい事じゃない」

「で、でも…、知るならもうちょっと…」

「あぁ、そのこと?別に構わないわよ。いずれ知ることなんだし」

「そ…、そう……」


さっきから笑顔を崩さないティアに、アニスは一抹の不安を覚えた。

ただでさえ強がっていたのだ。更に強がっているのは言うまでもない。



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