長編小説1
□約束のひだまり〜約束〜
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一方のルークはというと、ファブレ公爵邸…ではなく、ノエルと共にアルビオールで空にいた。
「悪いな、ノエル。急で…」
「いえ、それは全然構いませんが…。今回の事情をお聞きした時は驚きました。正式に婚約を発表されるとの通知が届いた後でしたので」
「やっぱ、ナタリアと婚約すると思った?」
「いえ、あの…、こう言っては差し出がましいかも知れませんが、私はずっとルークさんはティアさんがお好きなものとばかり思ってましたので、戻られてからプロポーズされたのかと思いまして…」
ノエルの意外な返答に、ルークは目を丸くした。
「…あれ?やっぱ俺ってそんなにバレバレだった?」
「ま、まぁ、そこそこ…」
苦い笑顔をしながらノエルはルークの方へ向いた。
ルークもその笑顔に苦い笑顔で返した。
「でも…、ナタリア様の言った通りティアさんが今日来られていないのには驚きました。本当に、あそこにいるのでしょうか…?」
「さぁな。けど、俺の成人の儀のときも出席しないでずっとあそこにいたらしいし…」
ルークは椅子の背に体を預け、天井を見た。
「あ、はい。それは確かですよ。あの日は確かに会場にティアさんいませんでしたし、みなさんをあそこまで送り届けたのは私ですし」
「何だ、あの日ノエルも来てたのか」
「はい。でも、アストンおじいちゃんや他にも送り届ける方がいたので私はすぐに戻りましたが…」
「そっか…。今までろくに挨拶にも行けなくてごめんな」
「いえ、気になさらないでください。ルークさんも戻られてから色々大変だったでしょうし」
「まあ…な」
「ティアさん、いるといいですね」
「あぁ…」
ルークは静かに窓の外を眺めた。
眼下には、青い海が広がっている。
その先には、タタル渓谷が見えてきた―…。
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