頂き物

□フルカラ
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「小さい頃さぁー、24色の色鉛筆に憧れなかった?」
棗(なつめ)が唐突に言い、私は棗の顔を見た。
棗は手首をふらふらさせながら私の返事を待っている。只今柔軟の真っ最中。

「憧れた、・・・・・・って?」
鸚鵡返しに問い返すと棗は、だからさ、と笑う。
「なんだか小学生くらいの頃って、みんな12色の色鉛筆もっていたじゃん?
けどたまーに、金属の広い箱に入った24色の色鉛筆を持っている子がいてさぁ。
そういうのってめちゃめちゃかっこよく見えて、
でも、借りるのが恥ずかしいと思って、借りたりしなくてさ」
「あー・・・・・・、あったあった」

言われてやっと、思い至る。
確かに、小学校の頃は紙の箱に入った12色の色鉛筆を使っていて、
足りない色にやきもきした覚えがある。
数人のクラスメートが持っていた、
薄い金属板の箱に入った鮮やかな24色色鉛筆は、
確かにとて羨ましかった。
けどいざ親になにか買ってもらうとなるとなると欲しいものは沢山あって、
24色色鉛筆に憧れながらも、
横目で睨んで見ないふりをしていた。
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