頂き物

□フルカラ
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「でしょー?」
話が通じた棗が嬉しそうに笑って、私と背中を合わせる。
私は万歳した棗の腕を持って、ぐいーっと身体を折り曲げた。
棗の足が浮き上がり、1,2,3、・・・・・・・と、声を合わせて数える。
「けどなんで、今そんな・・・・・・?」
「うん、昨日さ、買ったんだ、24色入り色鉛筆」
今度は棗が私を持ち上げながら、笑って答える。案外力強いこいつ。
仰向けに反り返って、見える青空は光が強い。1、2、3、4、・・・・・・。
腰が伸びて、気持ちいい。きっぱりと円を描く視界の端に、緑の木の葉。
あと何日で、夏休みは終わりだった。

「・・・・・・・なんで?」
「うん、僕らのクラス、絵日記の宿題が出ちゃったんだよ。毎日じゃなくて、
5日分だけなんだけどさ」
「・・・・・それでも面倒くさい・・・・」
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